| EN |

蔵真墨:蔵のお伊勢参り、其の五 二川から伊勢!
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 2月 17日

画像提供:ツァイト・フォト・サロン copy right(c) Masumi KURA

 

蔵のお伊勢参り
——思想統制とのぼんやりとした闘い

日本橋を出発して三重県、伊勢神宮を目指し西へ移動しながら人物スナップを中心に撮影している。お伊勢参りというと古典的な響きもするが神社仏閣などを撮影するわけではなく現代の人間の姿がそのまま写ってくれるよう撮っている。

撮影を進めつつ誌面や展覧会で発表していると、そのどの段階でもどうも白い目で見られる。あるがままを見ようとする私のやり方がどうやら「肖像権」や巷の常識なるものを「侵害」するらしい。この頃になって気付いたことだが、私がこれまで生きてきた中で身につけたものの見方は一般的に大多数の人が望ましいとするものの見方とは違うようだ。一般的に大多数の人が共有するコモンセンス、あるいは道徳について自分は異を唱えるものではない。同時に、そこから少々逸脱した少数者ではあるが私もまた私自身の視線を大切にしている。

視線は最大限の自由をつねに求めているのではないだろうか。
-2009年10月 蔵 真墨

蔵 真墨 Masumi Kura
1975 富山県生まれ
1998 同志社大学文学部英文学科卒業
2001 東京ビジュアルアーツ写真学科中退

個展:
2001  写真人間の街プロジェクト「東京—大阪」ガーディアン・ガーデン/東京
2002 「love machine」photographers’gallery(東京)、「love machine vol.2」photographers’ gallery、「love machine vol.3」photographers’ gallery
2003 「love machine vol.4」photographers’ gallery
2004 「蔵のお伊勢参り、其の一 日本橋から川崎」 photographers’ gallery(東京)、「蔵のお伊勢参り、其の二 神奈川から箱根」 photographers’ gallery
2005 「蔵のお伊勢参り、其の四 金谷から白須賀」 PLACE M(東京)
2006 「蔵の放浪記、第一部 新宿」 ゴールデン街こどじ(東京)

グループ展:
2001 「Opening Exhibition」 photographers’ gallery(東京)
2002 「フォトネシア・光の記憶 時の果実 photographers’ gallery展」 前島アートセンター(沖縄)
2003 「photographers’ gallery展」 中京大学アートギャラリー C・スクエア(愛知)、「人臭(ヒトシュウ)— 猫臭(ネコシュウ)に抗うその強烈な」 空間実験室(青森)
2004  上映会「この夜の恍惚と不安」 space harappa(青森)、「横濱写真館」(蔵のお伊勢参り、其の三 三島から島田) BankART1929(神奈川)
2005 「現在のポートレイト」 パルテノン多摩(東京)
2007 「Japan Caught by Camera – Works from the Photographic Art in Japan」 上海美術館(中国)
2008 「写★新世紀 パリ、ニューヨーク、東京、そして上海」 せんだいメディアテーク(宮城)

パブリックコレクション: 沖縄県立博物館美術館、上海美術館

※全文提供: ツァイト・フォト・サロン

 

最終更新 2010年 2月 19日
 

編集部ノート    執筆:田中みずき


展覧会場には、本音丸出しの、少し意地悪な視点が鮮烈な写真が並ぶ。写されているのは、写真家・蔵が日本橋から三重県・伊勢神宮を目指しながら撮影した、日本で普通に生活している人々の姿だ。撮られることを意識していない彼らは、理想から逸脱した、少し間抜けな自然体を曝す。どこかで見た人のことを思いだすと同時に、馴れ合わずに厳しく人を見つめる撮影者の視点に惹かれる。本展覧会に誰かと行くのであれば、社会的・公的なお付き合いの方とではなく、何でも話せる友人と、笑ったり、自虐の精神で観たりするのが相応しいだろう。


関連情報


| EN |