| EN |

井上雅之 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 2月 08日

《MU-07》2007年|陶|365 x 178 x 145(h) cm 画像提供:ギャルリー東京ユマニテ copy right(c) Masayuki INOUE

井上雅之は1957 年神戸生まれ。’85 に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。 井上は大学で油画を専攻しましたが、在学中に陶芸のロクロ制作に出会います。それは手の中で形が生まれる事の発見でした。器ものではない焼きものによって成形される亀裂や破砕された欠片に興味を持ち、以後、陶による大規模な立体作品を制作していきます。 近年では、1995「ジャパニーズスタジオクラフツ展」(ヴィクトリア&アルバート美術館、イギリス) 、1999「日本現代陶芸展-前衛の動向」(ファンボンメルファンダンフェンロ市美術館、オランダ)、2003「大地の芸術クレイワーク新世紀」(国立国際美術館)、2005「アルス・ノーヴァ-現代美術と工芸のはざまに」(東京都現代美術館)、2006「日本陶芸100 年の精華」(茨城県陶芸美術館)など国内外の企画展を中心に発表を続け、現在では、日本を代表する現代陶芸作家の一人として活躍しています。 井上の作品は、粘土を板状にして形作るタタラを四角い筒状にし、そのピースを積み重ねて作られ、大作になると、100 個以上にもなります。制作は粘土をこね、乾燥後解体、焼成し、再度組み上げられ、ひとつの作品として完成します。これらの仕事は、例えば農夫が耕作地を守るためにひとつひとつ黙々と積み上げた石組み、あるいは坦々と種の伝達のために巣の造営に働く蜂などの強靭な造形物を思わせます。 そういった連続した行為によって支えられたひとつひとつの手仕事が蓄積され、その量が形となって現われたとき、井上の作品は、その中に隠され潜んでいる本質を見て取り「ものの力」となって物量とともに圧倒的な力となって目の前に現れます。 今回の新作では、簡素な単位形態を自然流に寄せ集めていく構成手法が、鉄材・木材による『型』を用いることにより変容し始めています。単一の表面に覆われた形態ではない、仕切り節のついたパーツが増え、色彩の要素が加わり、いわば生命体における細胞のように連関し積み重なって全体を形成するという構造に変化してきました。 彼の作品がしばしば有機的な生命感を漂わせることも、こうした構造と無関係ではないように思われます。今回、ギャルリー東京ユマニテでは5年ぶりの新作展となります。 3.5 x 2 x 2mの大作を中心に計3点の他、小品数点を展示いたします。新たな展開を見せる井上の新作をこの機会に是非ご高覧頂けますようご案内申し上げます。 井上雅之 INOUE Masayuki
1957 神戸市に生まれる
1985 多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了
1998 多摩美術大学美術学部工芸学科助教授
2006- 多摩美術大学美術学部工芸学科教授 主な個展:
1984,’85,’02,’07 村松画廊(東京)
1985,’86,’87 ギャラリーマロニエ(京都)
1987,’88,’90,’91,’93,’95,’98 ギャラリーコヤナギ(東京)
1990,’91,’92,’94 ギャラリー天竺(東京)
1991,’93,’96 ,’97,’00 番画廊(大阪)
1997, ‘05 ギャルリー東京ユマニテ (東京) パブリック コレクション:
東京国立近代美術館工芸館/ 茨城県陶芸美術館/ 岐阜県現代陶芸美術館/ 山口県美術館/ 滋賀県立陶芸の森陶芸館/ 和歌山県立近代美術館/ 国立国際美術館/ 愛知県陶磁資料館/ 宮城県美術館/ 文化庁/ プリンセスホフ陶芸美術館(レイワーデン、オランダ)/アルゼンチン近代美術館「日本の家/ エバーソン美術館(シラキュース、アメリカ)/ 国立歴史博物館(台北)/ ビクトリアアンドアルバート美術館(ロンドン、イギリス) ※全文提供: ギャルリー東京ユマニテ

最終更新 2010年 4月 05日
 

関連情報


| EN |