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福田真規:一瞬、時がとまった
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 2月 27日

《遠くの囁き》2009年|油彩、キャンバス|116.6×80.5cm 画像提供:YOKOI FINE ART copy right(c) Maki FUKUDA

ひんやりとした床、光を受ける窓、佇んでいるかのような椅子。
福田真規が一貫して描くのは、静寂に占められた空間である。そしてその静けさの中でのみ掬い取る事のできる僅かな人の気配が、そのキャンバスには塗り込められている。

「静かな部屋にいると、窓の外から微かで、様々な音が聞こえてきます。静かでなければ風の音や遠くの人の声、窓から滲み出てくる外の音などの気配を感じとることはできません。

また、静かな部屋で感じとれるのは外の世界だけではありません。何もない、引越しの直後の様ながらんとした部屋や、そこにぽつんと置かれた椅子からは、かつてそこに居たであろう人の気配や、その話し声が残り香の様に部屋に漂っているのです」

何気ない居住空間がそっとその身を翻し表情を変える瞬間、時が止まったかのような空間に、人知れず織り成されていた物語は現れる。
彼女は捉えたその一瞬の物語を、自身の作品世界に閉じ込める。

「現実をそのまま写すのではなく、描きたいのは現実にある一瞬から感じとれる世界です。そして、その心を掴まれる一瞬一瞬は、光を放ちながら私の思い描く世界に集約されるのです」

長らく外気に触れていない、凝縮された世界。
息をする事すら憚られるような静けさと重みを持って、彼女の作品はそこに存在する。 福田 真規 / Maki Fukuda
1984 大阪府生まれ
2005 多摩美術大学絵画学科油画専攻 入学 
2009 多摩美術大学絵画学科油画専攻 卒業
2009 多摩美術大学大学院 在籍 個展:
2009 「優しい記憶」 (Pepper's Gallery / 東京)
2010 「一瞬、時がとまった」 (YOKOI FINE ART / 東京) グループ展:
2006 「Picnic」展 (HK LOUNGE / 神奈川)
2007 「7TUBES」展 (多摩美術大学絵画東棟 / 東京)
2008 「信頼」展 (多摩美術大学絵画東棟 / 東京)
2009  卒業制作展 (多摩美術大学 / 東京)、東京五美術大学連合卒業制作展 (国立新美術館 / 東京) ※全文提供: YOKOI FINE ART

最終更新 2010年 3月 19日
 

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