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鷲尾和彦:極東ホテル
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 2月 03日

画像提供:AKAAKA copy right(c) Kazuhiko WASHIO

東京都台東区、かつて「山谷」と呼ばれ日雇い労働者の町として知られていたこのエリアにある外国人旅行者専用の簡易宿。鷲尾和彦は、この一軒の宿へやって来るバックパッカーたちのポートレートを5年間にわたり撮影しました。のべ数百人の旅行者との出会い。
彼らの言葉に耳を傾け、互いの言葉の向こうに残されていった記憶。

「そして、その『響き』が僕を強く共振させる時、僕たちはともにこの世界を漂い続ける小さな欠片であり、異なる場所でそれぞれの生を生きてきた者同士なのだという愛しさが込み上げて来た。」(あとがきより)

彼らひとりひとりのポートレートに刻まれる不思議な静謐と体温、そして切迫感は、未来への希望と不安が入り交じりながら漂う私たち自身の肖像でもあり、従来のドキュメント写真を超えた普遍性を獲得しています。遠くへ何かを探しに行くことだけが「旅」なのではなく、訪れては去る彼らの姿を見つめる中にこそ、宙吊りの今を生きる、新しい「旅」の写真の可能性があることを、「極東ホテル」は静かに指し示しています。
写真集『極東ホテル』の刊行と合わせて催される本展では全27点のプリントを展示致します。

『極東ホテル』
仕 様: B5変型・並製・写真96ページ、著者: 鷲尾和彦、寄稿: 池澤夏樹 (小説家・詩人)書き下ろしエッセイ「寂しい惑星(ロンリープラネット)」収載、装幀: 北川一成、発行: 株式会社 赤々舎

鷲尾和彦 (わしお・かずひこ)
兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部社会科学専修卒業。10代前半から音楽活動をはじめる。20代後半に初めてカメラを購入。独学で写真活動に取り組む。ガーディアン・ガーデン主催「フォトドキュメンタリーNIPPON」入選(2006年)など。現在、写真家としての活動と並行し、株式会社博報堂のプロデューサーとして「環境」「サステナビリティ」をテーマにした多くの企画プロデュースを手掛けている。

※全文提供: AKAAKA

最終更新 2010年 2月 06日
 

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