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ジュール・ド・バランクール
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 1月 29日

《衆愚の饗宴》2004年 | 油彩、エナメル、板 121.9x 203.2 cm | ジェフリー・ダイチ氏所蔵

ジュール・ド・バランクール(1972 年、パリ生まれ)は、ニューヨーク・アートシーンを代表する作家の一人です。パレ・ド・トーキョー(パリ)の「 私たちの物語(Notre histoire)」「、ホイットニー・ビエンナーレ」(ニューヨーク)、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(ロンドン)の「USAトゥデイ」等(すべて2006 年)に参加して以来、国際的に活躍しています。本展では、新作も含めて2003 年からの代表作を展示します。

ド・バランクールは絵画を中心に彫刻、インスタレーションなどを制作してきました。特に絵画では、その自由自在な線と色づかいで、日常生活の一場面から、冒険、恋愛、政治、経済、環境、ユートピア思想、さらには精神次元の風景までを縦横無尽に表現します。これらの風景は、ニュースやメディア、さらにサイバースペースをも現実の一部として捉えるド・バランクールの意識が表現されています。その視点はネットワーク状に広がり流動的なため主題は多岐に渡り、表現手法は具象的にも抽象的にもなり、写真、地図、映像なども連想させます。また、描かれる対象との距離感も、クローズアップから遠景図まで多様であり、絵画自体のサイズも大小様々です。こうした作品群は、互いに連鎖することで、観る人独自の物語へと開かれており、作家はこの作用を「フリーアソシエイション(自由連想)な絵画」と呼んでいます。

彼の作品にタイトルと共にときおり絵の中に現れるスローガンのような言葉は、あたかも広告戦略を絵画に取り入れたようにも見えます。同時に、彼の作品には資本主義システムや管理社会への批判的視点、特に9.11以降の世界観が見え隠れします。それは、彼自身がユートピア論や社会システム、コミュニティといったものに常に興味を持ち、実際にニューヨーク、ブルックリンのオルタナティブ・スペース「Starr Space」の運営を通じてコミュニティ作りを実践していることにも依っています。 森美術館は、本展が現代美術における絵画の位置、そして映像やメディア、ネットワーク的な視点を取り入れた絵画の新しい可能性を再認識する機会となることを願います。

アーティストトーク ※日英逐次通訳付 
2010 年3 月20 日(土)17:30-19:00
料金: 無料(要予約・要展覧会チケット)、お申し込み:2 月23 日(火)の10:00 より先着順に受け付け。

※全文提供: 森美術館


会期: 2010年3月24日-2010年7月4日
会場: 森美術館

最終更新 2010年 3月 20日
 

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