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クリストとジャンヌ=クロード展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 1月 24日

《包まれたライヒスターク、ベルリン、1971-95》 画像提供:21_21 DESIGN SIGHT

LIFE=WORKS=PROJECTS

パリ最古の橋ポン・ヌフを輝くベージュの布で包み、カリフォルニアの丘陵地帯と日本の田園風景に黄色と青の傘の花を咲かせ、ベルリンのライヒスターク(旧帝国議会議事堂)を銀色の布で包んでしまったクリストとジャンヌ=クロード。彼らのプロジェクトは常にゆるぎないコンセプトのもと、長い年月を費やしながら人々を説得し、実現へと進められていきます。2005年2月、ニューヨークのセントラル・パークにサフラン色のゲートを7503本連ねたプロジェクトは私たちの記憶に新鮮ですが、これも20年以上に渡る交渉の末についに実現したものでした。 本展では、こうした活動の軌跡を表すドローイング作品や完成したプロジェクトの写真、ドキュメンタリー映画などによって、壮大なプロジェクトを現実のものとしていくプロセス、さらにはその根底に宿る美しさへの情熱に目を向けます。 2009年11月18日、ジャンヌ=クロードは惜しくもこの世を去りましたが、クリストは今もなお二人が描いたプロジェクトのためにさらに歩みを進めています。会場では、コロラド州の「オーバー・ザ・リバー」やアラブ首長国連邦での「マスタバ」等、現在進行中のプロジェクトの一部もあわせて紹介します。 本展はクリスト、ジャンヌ=クロードと三宅一生との長年の友情関係を背景に、二人のプロジェクトに25年間関わってきた美術評論家柳正彦の監修によって構成されます。本展を通して、驚きと感動に満ちた二人の「LIFE=WORKS=PROJECTS」に触れられる機会をつくります。

私たちが創り出したいのは、ジョイ(喜び)とビューティ(美)の芸術作品なのです。
-クリストとジャンヌ=クロード

クリストとジャンヌ=クロード
クリストは1935年6月13日ブルガリアのガバロフに生まれる。ジャンヌ=クロードは、同年同月同日に、フランス人両親のもとモロッコのカサブランカで生まれる。ソフィアの美術アカデミーで学んだ後、ウィーン、ジュネーブを経て1958年にパリに亡命したクリストは、その年の秋にジャンヌ=クロードと出会う。二人は共同で独自の創作を開始した。1961年、ドイツ・ケルン港での「埠頭のパッケージ」「積まれたドラム缶」を皮切りに、さまざまなプロジェクト“野外空間での一時的な芸術作品”に取り組むようになる。 1964年、ニューヨークに移り住む。以降、「ヴァレー・カーテン、コロラド州ライフル、1970-72」、「包まれたポン・ヌフ、パリ、 1975-86」「アンブレラ、日本=アメリカ合衆国、1984-91」「ゲート、ニューヨーク市セントラル・パーク、1979-2005」など、主に布を使い景観を変貌させる仕事を実現してきた。現在進行中の作品は、1977年に開始された「マスタバ、アラブ首長国連邦のプロジェクト」と1992年に開始された「オーバー・ザ・リバー、コロラド州アーカンザス川のプロジェクト」。2009年11月18日のジャンヌ=クロードの急逝後も、クリストはこれら二つのプロジェクトの実現を目指し精力的に準備活動を続けている。

全文提供: 21_21 DESIGN SIGHT

最終更新 2010年 2月 13日
 

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