展覧会
|
執筆: カロンズネット編集
|
公開日: 2010年 1月 22日 |
アイラン・カン( Airan Kang )は、叡智のあかりを光る本のオブジェであらわし、我々を観照の空間に誘います。韓国で生まれ育ち、カントなどの西洋思想に慣れ親しんだ作家は、自らのアイデンティティーを模索するかのように、1999年から本を用いた概念的なインスタレーションを発表してきました。作品は実際にある本のサイズと同じ原型を透明樹脂で型抜きし、LEDを使い内側から発光するように作られていますが、本の光に照らされるとき、光輝く本のオブジェは、個人の文化的蓄積をしめす記号でもあり、脳神経システムの一端子でもあるかのようです。一冊の光る本から始まった作品は、近年では、物体としての本からその存在性を仮想空間に再構築し、見る人が身体を用いて体験できるプロジェクトへとして提示し、デジタル時代における相互作用的な、新しい知のあり方を探っています。
日本における美術館スペースでの初の本格的な個展となる本展では、展示室のなかにミラールームを設け、虚構のまじる多元的な空間をつくりだします。それは、仮想と現実が混在する、今日の情報化社会におけるリアリティーのすがたを映しているかのようです。人間の物質の重力を超越して、高みにのぼる精神の瞬きをどうぞご覧ください。
作家プロフィール 1960 韓国ソウル生まれ 1983 韓国梨花女子大学校美術学校西洋画科卒業 1987 多摩美術大学大学院修士課程修了 2002 ニューヨーク大学に客員教授として招聘される 2002-4 ニューヨークインターナショナルスタジオ&キューレイトリアルプログラム(ISCP) 2009 多摩美術大学大学院博士号取得 現在梨花女子大学校美術大学教授
主な個展: 1986 ドゥソンギャラリーソウル、韓国/ Sirotaギャラリー東京 1992 ギャラリー現代ソウル、韓国 1997 ギャラリーロフトパリ、フランス 1999 ビューイングルームヨツヤユミコチバアソシエイツ東京 2000 ナディッフ/ ビューイングルームヨツヤ/ ギャラリー5 東京 2001 ギャラリー射手座/ メディアショップ/ ギャラリーヴァイスラーム京都 クムサンギャラリー/ アートソンジェセンターソウル、韓国 2003 クムサンギャラリーソウル、韓国 2005 イノフィールソウル、韓国 2006 「The Site of the Sublime」クンホ美術館ソウル、韓国/ 「天の光、知の光」アートフロントギャラリー東京 2007 「呼吸する光り、知の営み」イナートギャラリー大阪 2008 「One Life, Some Books」Clear Gallery 東京、「Lighting Book – 知の交差点」南洋堂書店東京、「明るい窓la finestrê claire」H.P. FRANCE WINDOWGALLERY 東京、「Digital Book Project」チョスン・リボOne Interview Gallery ソウル、韓国 2009 「鏡ユートピアとヘテロトピアの間」eN Arts 京都、「The Sublime – the Space of Heterotopia」Gallery Simon ソウル、韓国
※全文提供: ヴァンジ彫刻庭園美術館&ユミコチバアソシエイツ
|
最終更新 2010年 2月 20日 |