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青秀祐:PAX-4
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 1月 18日

《PAX-4》画像提供:eitoeiko
Copyright © Shusuke AO

 

紙飛行機の飛行性能は、紙の大きさと重さ、そして紙の硬さによって決まる。

1機あたりのサイズは、縦540mm×横410mmとする。機体の主な素材は極薄の和紙。この和紙は軽く、かつ柔軟であるため、機体の軽量化と適度な剛性の保持に寄与する。折り目やガイドのマーキング、機体に施す各装飾はレイヤーの切り抜きと型押し、手製の和紙デカールで表現し、その厚みの差と微妙な凹凸が航空機としての構造的質感を演出するだろう。

広く表面を覆う鉛箔は機体に金属そのものの質感を与えるが、それにより増加した自重はレイヤーを部分的に肉抜きする事で軽減化を図る。折り方は、安定飛行に優れた「へそ型」を採用する。
-PAX-4設計思想より 青秀介 2009年

1981年生まれの青秀祐は、多摩美術大学で日本画を学びました。青は工業製品における芸術性について考察します。洗練の極に達した工業製品には、美しさが宿ります。それは見事な計算によって生み出された古代エジプトのピラミッド、産業革命をもたらした蒸気機関、生命体の中で活躍するナノテクノロジー・ロボットにいたるまで、歴史の中で繰り返された事実です。最も美しい工業製品のひとつに、ジェット戦闘機があります。航空機産業の発展は戦争によって支えられました。青秀祐はパイロットの父の元で、ジェット戦闘機を身近に感じて育ちました。 作家は工業製品からその「美」を抽出する方法を考案します。展示会場全体に、設計段階から生産までの過程を再現することにより、作家はその製造工程において工業製品が纏う緊張感を再現し、途中経過における未然の美を創出するのです。そして完成した紙飛行機によるインスタレーションにより、実用としての機能美を示します。これは美の純粋性を芸術の領域に取り戻す試みとなるでしょう。  

青秀祐
1981年 日本生まれ。横須賀在住
2003年 個展『脳内棚内部』(小野画廊II)
2004年 個展『man game』(key gallery)
2004年 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業
2006年 個展『FLIGHT』(77studio)

※全文提供: eitoeiko

最終更新 2010年 2月 20日
 

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