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コトホギス フジイフランソワ展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 1月 08日

《完熟桃太郎(部分)》<新作>|画像提供:新宿髙島屋

“平成の女絵師”の異名をとる画家、フジイフランソワさんの百貨店初の個展を開催いたします。

琳派の様式をとりながら、伊藤若冲や円山応挙ら江戸時代の絵師の作品をもとに趣向を凝らし、独特の遊び心で軽妙洒脱な作品を生み出しているフジイフランソワさん。おかしみや、命のはかなさ、尊さを軽妙洒脱に描く独特の世界は圧倒的な存在感と迫力をもって、多くの人々を魅了しています。

一見するとごく正統派・古典的な日本画に見えますが、凝視するとそこには愛らしい動物や不思議な生き物が隠れていたり、絵に添えられた言葉もまた楽しく、同音意義語や造語、略語を組み合わせて、あるときは五七調、あるときは韻をふんで、独特の言い回しで、観る人を苦笑させるような、いたずら心も見え隠れします。

本展では、新・近作約30 点、代表作約10 点を一堂に展観いたします。

フジイフランソワさんは、1962 年静岡県湖西市生まれ。1999 年98 年度準朝日広告賞、2000 年VOCA 展において『景 海の向こうに何がある』がVOCA 奨励賞を受賞。絵本の著作も多数あります。名古屋市在住。

※全文提供: 新宿髙島屋

最終更新 2009年 12月 30日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


フジイフランソワの古典的な日本絵画風の作品はつかの間の安心ないし退屈を見る者に与えるだろう。けれどもひとたび画面内のおかしみや毒に気づけば引きずり込まれるか嫌悪感を感じるかのどちらかではないか。つまりとても安穏とはしていられない。 作品の多くからは江戸期を中心にした日本絵画からの引用が見受けられるが、それは日本の古典絵画と現代風俗をきわめて明朗に接続した、山口晃や山本太郎、天明屋尚らの作品とはまったく趣を異にしている。なぜならフジイフランソワが多く試みているのは古典と現代の接続ではなく、古典内における図像のカットアップのように私には思われるからである。いや、単に「カット」と呼んでもいいのかもしれない。それほど作品には動物の生首や贓物がユーモアとともに描かれている。年末年始をまたいで開催されている個展「コトホギス」では、約四十点の新作・近作を見る事ができる。


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