森栄二 展 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2009年 12月 17日 |
森栄二は、古典的技法を用いて木が本来持つ触感を活かしながら木彫作品を制作。森の木彫は、愛想はないが親密感にあふれ、心をこめて描いたエスキースのような軽やかさがあり、こどもや植物などの何気ない表情やありさまが生み出す、ありふれた日常の断片を思い起こさせてる。 森 栄二 Eiji MORI ※全文提供: LOWER AKIHABARA. |
最終更新 2009年 12月 08日 |
「ポッカリあいた心の穴を少しずつ埋めてゆくんだ」(*1)と歌ったのはフィッシュマンズだが、森栄二の彩色された木彫作品『ぽっかりあいた穴』(*2)には、少年の胸にポッカリ小さな「穴」があいていた。「穴」といってもドリルで無理やり貫通させた穴というより、丁寧に抜かれた「穴」なのである。 少年の胸にポッカリあいた穴を見ているうちに、実は多くの少年の胸にはポッカリあいた穴があって、上着を着ているから気がつかないだけなのではないかという気がしてきた。きっと大人になるとサンタクロースを信じなくなるのと同じように、ポッカリあいた穴が少しずつ埋められていくのかもしれない。 *1 Fishmans「POKKA POKKA」『宇宙 日本 世田谷』収録、Polydor(POCH-1640)、1997年
*2 2009年、木彫、H30cm