| EN |

鯨津朝子:Out of Space: Berlin - Tokyo 2009
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 12月 12日

画像提供:アートフロントギャラリー

この度アートフロントグラフィックスでは、線によるドローイングで独自の表現方法を追求する作家、鯨津朝子の作品をご紹介いたします。 鯨津の創作の場は美術館、ギャラリーのみに制限されることなく、横浜の赤レンガ倉庫や小学校、公共施設、時には住宅など様々な建造物が作品展示の場となります。また、近年は主に“線”を描くという創作スタイルをとっている彼女の作品表現は、額装されたドローイング作品、建物の壁面から天井へと繋がる作品、また時には建物の中だけでなく、その外へと広がっていき、変幻自在にその姿を変えて表現されます。それぞれの空間から受けたインスピレーションをもとに、ドローイングで描かれた線は、まるで生き物のように自在に時間や空間を泳ぎ、無限に広がります。作家によって命を吹き込まれた“線”たちが織り成す生命力溢れる世界は、輪舞(ロンドン)となって、見るものに新たな視覚・知覚世界を提示します。彼女の創り出すその有機的な知覚空間に入り、動きながら作品を見ることによって、鑑賞者はあらためて人間の身体感覚を呼び覚まされるのです。あらゆるものがデジタル化した現代に相対するかのように、鯨津の作品はあくまでも身体感覚にこだわっているようです。そうして提示された作品である“線”たちを前に、見るものは作家が確かにそこを通過したという生命の跡を見るのであり、それを無意識に確認することによって作品と交歓するのです。 1997 年には、「ガスコーニュ・ジャパニーズ・アートスカラシップ」の奨学金を受け、アジャン(フランス)で現地滞在制作を行ったのち、ベルリンに移住し、現在は日本とフランス、ドイツを始めとしたヨーロッパで精力的に創作活動を続けています。2009 年は、11 月10 日から26 日まで、東京国立博物館の庭園内にある応挙館において、応挙の作品と共に、鯨津の線のドローイングによるインスタレーション作品の公開制作と展示を行っています。アートフロントグラフィックスの展示では、空間を最大限に生かし、平面作品とともに、そこから派生しさらに3 次元へと展開した作品を展示、ご紹介いたします。これらの作品群からは、常に多様なベクトルをも見据えながら創作を行う作家の断面が浮かびあがってくるでしょう。現在、拠点をヨーロッパにおいている作家の久々の国内ギャラリー展示となります。今までアートフロントグラフィックに、お越し頂いたことのある方も、この機会に是非、鯨津朝子の演出する異空間を体感しにいらして下さい。新たな発見をされることと思います。

略歴
1965 東京都生まれ
1989 多摩美術大学絵画科油画専攻卒業
1991 多摩美術大学大学院 美術研究科修士課程修了
1997 「ガスコーニュ・ジャパニーズ・アート・スカラシップ」の奨学金を受け、アジャン(フランス)で三ヶ月間の現地滞在制作を行う
1999 文化庁芸術家在外研修員として一年間渡仏。現在、ベルリン在住 主な個展:
2000 「work in progress」 シテ・アンテルナシオナル・デ・ザール(パリ、フランス)
2001 Centre d'Arts Plastiques Albert Chanot(Ville de Clamart、フランス)
2003 「Lignes Ephemeres」 東京日仏会館(東京)
2004 「Out of spaceー続いてゆく線」 横浜赤レンガ倉庫1 号館(神奈川) パブリック・コレクション: 斎藤記念川口現代美術館(埼玉)、うらわ美術館(埼玉)、ダイムラー・ベンツ(東京) 公共施設設置作品: 2002 横浜にぎわい座 (神奈川) 公共建築のアートプランニング: 2002 エッセン市 リヒテンシュタイン

全文提供: アートフロントギャラリー

最終更新 2009年 12月 08日
 

関連情報


| EN |