スザンナ・ニーデラー:GHP (5) TOKYO |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 11月 06日 |
バーゼル (スイス) に生まれ、バーゼル、パリ、メキシコの大学で現代美術、美術史、ロマンス諸語、文学、映像理論、写真を学ぶ。2005年にアジア各地を訪れ、06年に日本に半年滞在、その後も数回来日している。現在はチューリッヒを拠点に制作をしている。 11月には大規模な個展をドイツのプファルツガレリー美術館、また、10月にはファス・コンテンポラリー(ドイツ)でも個展を開催するなど、1990年代から活発に制作・発表を行ってきた。主なパブリック・コレクションには、バーゼル市(スイス)、ブッシュ・ライジンガー美術館(米国)、エール大学アート・ギャラリー(米国)、豊田市美術館(日本)などがある。 自身にとって文学、音楽、美術が身近なものであることから、ニーデラーはこれらの接点を模索し始める。そして、それらに共通して存在する「空白」を、“ellipse/エリプス/楕円”というモチーフを通じて視覚的に表現するに至る。例えば、音楽や言葉の「間」、そして絵画作品の「空白」は描写とともに表現として重要な役割を担う。この「空白」や「間」は聞く/観る/読む側に解釈の自由を与える。彼女は “ellipse”の語源である、不在・欠如・ギャップを視覚表現を通じ示唆する。ニーデラーの作品はけっして何かを強く主張することはなく、エリプスをさまざまに表現することで存在と不在の両義性、中間にあるもの、ギャップや欠如を静寂なる空間に表し、見る者の意識を覚醒する。 ニーデラーの作品は、非常にシンプルなフォルムの中に、温かさと研ぎ澄まされた美しさを併せ持っている。見る者はいつの間にか惹きつけられ「空白」の世界へと誘われる。この機会に、ニーデラーの静かなる表現が伝える力強さを多くの方々に体感して頂ければ幸いである。 スザンナ・ニーデラー略歴 全文提供: a piece of space APS |
最終更新 2009年 11月 25日 |