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藤浪理恵子:Wanderer 放浪者その邂逅
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 10月 24日

≪賢者か愚者か≫画像提供:不忍画廊 copy right(c) Rieko FUJINAMI

今回のテーマは、放浪者、さまよう人という意味の “ Wanderer ”。不安や緊張が蔓延する現代でも、孤独感だけを感じるのではなく、その状況に漂うことを楽しめるように、というメッセージが込められています。

自分の表現したいテーマに沿って様々な手法を駆使する藤浪は今回、アーカイボピグメントプリントというデジタル手法を選択。自ら撮影した写真を自由にフォトモンタージュする事が可能なこの手法で、異次元のような不思議な世界を創出しました。

新たな藤浪理恵子の魅力を感じさせてくれる、新作 “ Wanderer 放浪者その邂逅 ” シリーズ6点を中心に、約20点をご紹介します。

Wanderer?放浪者、遍歴の旅人であるが、それは孤独、不安の旅ではなく状況に漂う事を楽しむ意味の言葉である。

ここ数年、アメリカの雄大な美しい自然に触れることで、柔らかくなった心から流れ出る空想と、そのつど切り取った視覚的事実の断片を緩やかに感応させ現実から遊離した変容の世界を作品にしてみた。緊張した社会に生きる人が、これらの作品の中で束の間 Wanderer となり、 放浪とそれぞれの邂逅を得て、心を柔らかく出来れば,と願っている。
2009/10  Rieko FUJINAMI

※全文提供: 不忍画廊

最終更新 2009年 10月 21日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


山田純嗣しかり、不忍画廊の取り扱い作家で版画系の作家はどうしてこうも複雑な手法を作品に採用しているのだろう。そう思ってしまうほど、藤浪理恵子の作品も聞くかぎり難易度の高い手法によっている。画廊の方に説明していただいたにもかかわらず、咀嚼できていないため手法についての説明は御免蒙りたい。

だが画廊のショーケースに展示されている旧作が示すように、その手法が、作家が今表現したいものを表現するために選び取られているということは理解できる。肖像を中心にした旧作と今回発表されている新作が、作家が違うのではないかと思うほど雰囲気が異なるのは、その時々のテーマによって手法も変えているからだ。 藤浪の新作は手法の一つにフォトモンタージュを採用している。2003年からアメリカに移住しており撮影も現地で行っているため、使用されている風景は日本では見慣れないものがほとんどである。そうして紡ぎ出される光景は、幻想的で物語的であるが押し付けがましくなく、とかく透明感がある。私はこの中なら、放浪者よろしく歩いてみたい。


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