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平川祐樹:Rêve d’artiste La Magie à travers les âges
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2019年 5月 20日

Rêve d’artiste La Magie à travers les âges 2019 Video installation, 4K UHDTV, stereo, 7'30"

平川祐樹は1983年愛知県生まれ。場所や事物に宿る「時間」や「記憶」をテーマに、映像を主軸とした作品を制作しています。近年取り組んでいる、失われた映画を扱った「Lost Films」シリーズは国内外で高く評価され、2019年にはロッテルダム国際映画祭 (オランダ)、オーバーハウゼン国際短編映画祭(ドイツ)、ショートウェーブス映像祭(ポーランド)など数々の映画祭にて招待上映されています。主な展覧会に2013年「眠りにつくまで」(美濃加茂市民ミュージアム、岐阜)、「あいちトリエンナーレ2013」、「札幌国際芸術祭2014」、2016年「19th DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京)などがあります。

アンドーギャラリーで2回目となる本展では、2017年より制作している「Lost Films」シリーズの第5作となる映像作品「Rêve d'artiste La Magie à travers les âges(芸術家の夢 時代を越えた魔術)」を発表いたします。壁に投影された黒い背景に、古いフランス映画のタイトルと製作年が淡々と現れては消え、タイトルを朗読する女性の声が会場に響きます。一見するとタイトルの羅列のように見えますが、それぞれのタイトルにゆるやかな繋がりがあり、詩的な意味やリズムが垣間見えます。それらの映画は、かつて公開されたフランス映画で、雑誌やポスター、新聞などに記録はあるものの実際のフィルムが残っていない、いわば「失われた映画」です。1930年代までに上映された日本映画のうち約95%が行方不明になっているのに対し、フランス映画の保存・修復率は驚くほど高く、映画大国フランスの底力が感じられます。現在の映画の基盤となるシネマトグラフを発明したリュミエール兄弟の作品に至っては、1895年の映画発明から1905年までに製作された1423本のうち、行方不明になっている作品はわずか18本のみです。一方で、同時期に活躍したジョルジュ・メリエスの作品は生涯製作した500本あまりのうち約半数が行方不明となっています。この事実には、二人の人物が経験した人生が如実に現れています。

本作「Rêve d'artiste La Magie à travers les âges(芸術家の夢 時代を越えた魔術)」を構成する映画タイトルの8割はジョルジュ・メリエス監督作品です。メリエスはいわゆる「トリック撮影」の創始者で、「出現」や「消失」を多用し、夢や幻想、魔術などを扱ったファンタジー作品を多く残してきました。一時は大きな成功を収めたメリエスでしたが、妻の死、経済的な破綻、そして第一次世界大戦の開戦などによって映画製作を継続できなくなり、次第に表舞台から姿を消していきます。戦時中、メリエスの映画フィルムの多くは陸軍に没収され、セルロイドと銀の再利用に回されました。1923年、自らのスタジオと劇場を失ったメリエスは自暴自棄になり、手元に残っていたネガフィルムに自ら火を放ちました。

「芸術家の夢 時代を越えた魔術」とは、平川が失われた映画作品リストの中に見出した、メリエスからのメッセージなのかもしれません。メリエス自身の手によって映画フィルムに放たれた火は、「消失」の魔術となり、再びここに時代を越えて「出現」する日を待っていました。それはメリエスの「夢」であり、また平川自身の「夢」でもあるのです。

http://www.andogallery.co.jp

全文提供:アンドーギャラリー


会期:2019年6月5日(水) 〜 2019年8月10日(土)
時間:11:00-19:00
休日:日・月・祝日
会場:アンドーギャラリー

最終更新 2019年 7月 17日
 

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