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35th parallel north
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Published: February 11 2019
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展覧会『35th parallel north』イメージ

企画:李晶玉(リ・ジョンオク)・鄭梨愛(チョン・リエ)
会場:小金井アートスポットシャトー2F (〒184-0004 東京都小金井市本町6-5-3 シャトー小金井 2F)
会期:2019 年2月9 日(土)~2019 年2月23日(土) *月火休み(11 日をのぞく)
開廊時間:12 時‐18 時 入場料:500 円
●トークイベント 2月15日(金)18:00-21:00 ¥500 入場料別 ゲスト:ハン・トンヒョン(韓東賢)(日本映画大学准教授)


李晶玉と鄭梨愛による展示『35th parallel north』を開催いたします。 「在日」という在り方から新たな視点を探る二人の「虚構的風景」は、完成された世界観の中に複眼的ないびつな風景を持ち込むことで、何らかの思考を促すかも知れません。国家や民族、過去や現在の、風景の様々な要素を横断したその「虚構的風景」は、日本で生まれ育ちながら、異質の共同体に身を置く二人だからこそ、覇権的な構造に支配された風景から「超過の存在」へと光を当て、新たな可能性を浮かび上がらせることができるのではないでしょうか。

二人は2018年3月朝鮮大学校研究院総合研究科美術専攻を卒業、現在同大学美術科非常勤講師を務める傍ら作家活動をし、東京を拠点に作品を発表しています。在学中には『在日は必要だった。』展(2013)、『在日・現在・美術』展(2014)などを開催し、日本アート界に「在日」アートを介入させる試みをしてきました。 また隣接する朝鮮大学校と武蔵野美術大学の二つの展示室を会場に、両大学の区隔壁に橋を仮設しつなげた展覧会『突然、目の前がひらけて』(2015)を開催し、2017年にはその続編にあたる『境界を跨ぐと、』を東京都美術館のセレクション展で開催するなど、同世代の作家たちと対話を続けながら、自身の現在地を探る試みをしてきました。

2018年10月韓国の京畿道美術館で開催された『コリアン・ディアスポラ-離散を超えて』の出展メンバーとして、二人はほぼ初めての訪韓を果たしました。展覧会タイトルの「コリアン・ディアスポラ」とは、他律的移住によって「祖国=韓国」 を離れた「韓民族」を指しています。終戦と平和を目の当たりにする「民族史の大転換期」に、世界に散る「韓民族」たちが集まり、美術を通し連帯するということが、展覧会の目指すものでした。

美術館側が準備したオープニングイベント、学術コンファレンス、DMZ ツアーなどは、一つ一つの場面の効果がちゃんと狙われた演劇と見て取ることができました。ここに参加した作家たちは、美術館が設定・演出したプログラムの中で一人の演者として加担し、また、参加作家だけではなく、展覧会場に並べられた作品も、ある目的を果たすために演じているようにさえ見えました。しかし、これはみんなが演劇であることを自覚した上での参加ではなく、美術館が作り上げたイリュージョンの中での召喚であったと言えます。 国家を背景に「演じられた展覧会」で見た風景は、本展示に大きな影響を与えました。 歴史や物語の持つ虚構性へのアプローチや、共同体へのメタ的な眼差しは、以前から二人 の制作に共通して見られるテーマです。

李晶玉は、写実的な描写を作品制作に持ち込む一方、絵画というものが事物の表面でしかないことに意識を強く感じ、その裏面に潜む固定観念をあぶり出す試みを続けてきました。近作では超虚構的な表現手法で現実と虚構の関係を作品化し、構造体の中に生きる在日としての自覚をテーマに制作を展開しています。鄭梨愛は、在日一世である祖父の肖像を通して個人と歴史の関係性を探りながら、定型化された歴史のストーリーと個人の肉体的な感覚を連結させ、歴史の語り方に疑問を投げかけています。近作では祖父のオーラル・ヒストリーから韓国の近代史をリサーチするとともに、歴史と記憶と語りが混在する物語の、実存のための紡ぎ方を模索しています。

今展示では、二人がそれぞれ舞台演出のような装置を会場に置き、全く異なる風景が違和感を保ちながら存在する、一つの舞台のような「虚構的風景」を現前化します。会場には李晶玉の描いた大画面の空と鄭梨愛のインスタレーションによる麦畑、富士山と檀の木、行進する捕虜、鳥居とブラウン管テレビが全景を成す奇妙な風景が立ち上がります。

* ディアスポラ展のコーディネーターである東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻キュレーション領域博士課程の権祥海(コン・サンへ)が、展示後芸大でのワークショップ『国のない人 李晶玉×鄭梨愛』企画初案で書いたテキスト、香港理工大学デザイン学部ポストドクトラル・フェローの山本浩貴が執筆した論文 『Decolonial Possibilities of Transnationalism in Contemporary Zainichi Korean Art』(韓国延世大学のアカデミック・ジャーナル『Situations』に掲載予定)を一部引用しています。

https://www.fb.me/35thparallelnorth/

全文提供:NPOアートフル・アクション


会期:2019年2月9日(土) 〜 2019年2月23日(土)
時間:12:00-18:00
休日:月・火休み(2月11日をのぞく)
会場:小金井アートスポット シャトー2F

Last Updated on February 09 2019
 

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