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日常に不思議への入り口――2つのレアンドロ・エルリッヒ展
ニュース
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2018年 2月 16日

《Elevator Maze》右:レアンドロ・エルリッヒ  (画像提供:アートフロントギャラリー)

  「あり得ない」光景を作り出すことで知られるアルゼンチン出身のアーティスト、レアンドロ・エルリッヒ。金沢21世紀美術館の《スイミング・プール》や越後妻有里山現代美術館の《トンネル》など、日本国内に恒久設置された作品はそれ自体が観光名所となっている。今年の夏には越後妻有「大地の芸術祭」で新たに池を使ったインスタレーションを発表予定だという。

  それに先がけ、2017年冬から2018年春にかけて、東京・六本木の森美術館では大回顧展「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」が開催されている。これまでの主要な活動を一覧できることに加え、見る人も作品の一部になったかのような「SNS映え」する写真撮影ができるという話題も後押しして動員記録を伸ばしている。

  東京・代官山のアートフロントギャラリーでも、2月25日(日)まで、同作家の個展「レアンドロ・エルリッヒ: コズミック&ドメスティック」を開催中だ。こちらはより身近な作品にフォーカスした内容。比較的小規模なスペースながら、森美術館に展示されていない新作も見られるとあって好評を博している。

「レアンドロの作品は、私たちの日常にある固定概念を気づかせ、子供からお年寄りまで、全ての人の感覚を刺激しています。来場者は、皆、単純な仕掛けの予想以上の効果に驚き、何度も何度もじっくりと作品の仕組みを観察し、時には作品の前にゆっくりと座って作品を鑑賞しています。また、その楽しさを共有したいと、口コミやSNSでの情報を得て来廊する方も多く、一人でじっくり見ても、数人でワイワイ見ても楽しめる展覧会です」(アートフロントギャラリーのスタッフ)

  大掛かりな装置ではない小品や映像作品にも、彼ならではのユーモアが宿る。鑑賞後、家に帰ったらいつもの洗濯乾燥機が少しだけ違って見えるかもしれない。

  作り込まれた虚構に身を浸す体験は、現代アートに限らず創作物に触れる醍醐味のひとつ。ひと時の現実逃避が人とのコミュニケーションを生み、日常の景色を変えることもある。東京での展示は、金沢や越後妻有へ足を運ぶきっかけにもなりそうだ。


●「レアンドロ・エルリッヒ - コズミック&ドメスティック」
会期:2018年1月19日(金)~2018年2月25日(日)
会場:アートフロントギャラリー(東京都渋谷区猿楽町29-18ヒルサイドテラスA棟)
詳細:http://artfrontgallery.com/(公式サイト)

●「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル 」
会期:2017年11月18日(土)~2018年4月1日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53階)
詳細:https://www.mori.art.museum/jp/(公式サイト)

●「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」
会期:2018年7月29日(日)~2018年9月17日(月)
会場:越後妻有地域 (新潟県十日町市、津南町)
詳細:http://www.echigo-tsumari.jp/triennale2018/(公式サイト)
最終更新 2018年 3月 02日
 

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