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蝸牛あや 新作個展「歌」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2016年 9月 26日

"夜の舟” 2016, 10.8 x 14.9 x 2cm, silk embroidery on cloth

   この度メグミオギタギャラリーでは、約1年ぶり、4回目となる蝸牛あや新作個展「歌」を開催します。
蝸牛あやは2001年に多摩美術大学彫刻科を卒業し、刺繍を用いた作品を発表し続けています。
蝸牛が一貫して創作のテーマに掲げているのは「祈り」です。

   古来より刺繍は家族をはじめとする共同体、あるいは個人に対する魔よけやお守り、祈りの象徴として女性の手によって受け継がれてきました。日本においては飛鳥時代に聖徳太子の死を悼んで制作された天寿国繍帳が最古の遺品として広く知られています。洞窟壁画や装飾古墳に見られるように、描くことや装飾は、自然と共に生きるために必要な「祈り」だったのです。

   しかし、大量生産と情報化の現代において、純粋な祈りを形にするための手段としての刺繍は失われつつあります。蝸牛は、現代において形式化した「祈り」を、一針一針思いを込めた刺繍作品を通じて、その本質へと導きます。

「私は、そこにあるもの、そこにいるあなたを大切と思って作品を作っています。
届かないかもしれない。届くかもしれない。届けばいい、と念じて作る。
それが私にとっての祈りなのかもしれません。」

   温もりある手の痕跡から成る蝸牛の洗練された刺繍作品は、時代や環境の変化を超えたところで普遍的に存在する、我々人間の悲哀や喜びといった感情に優しく寄り添います。

   今展では蝸牛は「歌」をテーマに掲げ、自然や詩、音楽からインスピレーションを得て制作した12点の新作を発表します。

   歌という語は、「声に出す歌」「自然の情景と自らの心を重ねた和歌」「詩としての歌」という複数の意味を持っています。形を借りて、形ないものを繋ぎ止めようとする蝸牛の創作は、詩人が言葉を組み合わせて心震わせる一節のリズムを編み出す作業に似ているのかもしれません。
   蜘蛛の巣や檸檬といった具象のモチーフから、讃歌や夜の舟と題された抽象表現まで、制作を重ねるごとに世界観を深め続ける蝸牛あやの本質に迫る作品の数々は必見です。

   蝸牛あやの新作個展「歌」に是非ご期待ください。

http://www.megumiogita.com/cn5/cn8/pg552.html

全文提供:メグミオギタギャラリー


会期:2016年9月23日(金) 〜 2016年10月8日(土)
時間:12:00 - 19:00
休日:日曜・月曜・祝日
会場:メグミオギタギャラリー

最終更新 2016年 9月 23日
 

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