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佐藤未希 「DIVER」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2016年 8月 27日

「赤の私」  2016 1458×2349mm(S80+M80) 油彩、パネルに綿布

この度、Yoshimi Artsは5回目となる佐藤未希の個展「DIVER」を開催致します。

佐藤未希の制作は、映像や写真から人物像をランダムに選択し、それを媒介にドローイングを重ねることから主に始まります。ドローイングという表現の基となる行為を何回も重ね、ある形が浮かび上がった段階に至ると、次にそのイメージを、時間を掛けて絵具を重ねていく油彩の技法で再び描き出します。
これまで、佐藤未希は人間の根源を求めるという事をテーマに作品を制作してきました。2014年には東北芸術工科大学大学院の博士課程を修了し、博士論文「表象の顔」を発表。それを今も追究し続けています。本展では、大作を含む新作を発表します。



これは「顔」の叫びである。
隣人よりも確かに、そして鮮明に迫る切実な現れ。
これをいかに受け止めるか。
「顔」はそれを強く要求する。

しかし、「顔」はそれ自身でなにかを語ることはない。
ただそこに存在している。
観る者もまた、ただそこに確かなかたちで存在するのと同じように。

私か。
他者か。
他者とは何ものか。
他者にとって私とは何ものか。
ひいては、私とはいったい何か。

この「顔」とかかわりのうちに入ることは、おのれから逃げず、目の前の「それ」に耳を傾けることである。
それは、人がその「存在」として生きる場所に立ち戻ること。
自己と他者、主体と客体といった視点、境界、物事の意味、時制までも脱臼させる、深みに潜ることである。
そして深みとはつまるところ、どうしようもなく薄い皮膚のうちにある。
絵画という存在様態そのもののメタフォリックな皮膚。
「顔」をまなざすとき、絵画もまた絵画として生きる場所に立ち戻ることができるのである。

佐藤未希

http://www.yoshimiarts.com/

全文提供:Yoshimi Arts


会期:2016年9月16日(金) 〜 2016年10月9日(日)
時間:11:00-19:00
休日:火・水
会場:Yoshimi Arts

最終更新 2016年 9月 16日
 

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