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湘南藤沢に集ったアーティストたちの滞在制作風景を公開!―藤沢市アートスペースで「Artist in FAS」開催中
ニュース
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2016年 8月 24日

神奈川県藤沢市の藤沢市アートスペース(愛称 FAS(エファース))で、同施設では初めてのアーティスト・イン・レジデンスプログラム、「Artist in FAS」が行われている。現在、公募で選ばれた5人のアーティストが藤沢市内で滞在制作中だ。開館1周年となる2016年10月からは、レジデンスの成果を発表する展覧会も開催される。

藤沢市が運営する美術振興施設であるFASは、開館以来、展覧会やワークショップを通じて藤沢市や湘南地域ゆかりの若手アーティストを支援してきた。今回のレジデンスプログラムでは、支援対象を大きく広げ、全国から参加アーティストを公募。10代から70代まで69件の応募があり、外部審査員とFAS学芸員による審査の結果、入選4名と「8hotel賞」1名が決定した。

滞在制作期間は2016年8月2日(火)から10月7日(金)までの最大2か月間。期間中はオープンスタジオ(公開制作)となっており、FASを訪れた人が制作の様子を見ることができる。
※8hotel賞の滞在制作スケジュールは現在調整中。最新情報はFASの公式サイト(http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bunka/FAS/)の「オープンスタジオ」を参照のこと。

藤沢市に限らず各所で行われているアーティスト・イン・レジデンス(滞在制作・展示支援)は、アーティストを支援すると同時に、アーティストとの交流を通じてそこに住む人が地域を再認識する機会でもある。もし近所に滞在しているアーティストがいたら、ぜひ覗いて声をかけてみてほしい。


以下、FASで滞在制作をしている入選アーティストを、制作風景と共に紹介する。

大阪で生まれ育ち、淀川の河川敷が遊び場だった川田知志(大阪府寝屋川市)。河川敷から川の流れや対岸を眺めるのが好きだという。今年、湘南の海に流れ込む境川と引地川を眺めて何を感じるのか。巨大な壁面を覆うインスタレーションで小学校や銭湯を一新させてきた川田の作風と、FASという場との融合にも注目だ。

川田知志


藤沢に隣接する人口370万の国際都市、横浜から参加するAtsuko Nakamura(神奈川県横浜市)。「都市と自然の境界をまたぐ象徴としての水」を、グルーガンで立体的に表現する計画だ。海と山に囲まれた藤沢での制作が、以前から問いかけてきた「現代の都市と自然のあり方」というテーマにどのような影響を与えるのか。

Atsuko Nakamura


大学卒業後、ひょんなことから豚の世話をする仕事に就いた廣田真夕(茨城県坂東市)。この7月に退職し、藤沢での滞在制作に入った。一年半の経験を通じて感じたことを形にすべく、ペンや筆を思いきり使って支持体いっぱいに大きな絵を描きたいという。ちなみに藤沢も、山側の方は全国的に有名な豚肉の産地である。

廣田真夕


「共同体の中で変化していくアイデンティティや文化の可塑性」を主なテーマとする古堅太郎(広島県広島市)。自身のルーツや場所の歴史についてもリサーチを重ね、作品の要素として取り込んできた。今回の滞在では、手作りのリキュール、シーグラス、焼物、食事、染色などをキーワードにリサーチを行い、その成果を制作に反映させる。

古堅太郎


滞在制作の様子
(以上、写真提供:藤沢市アートスペース)

なお、今回のプログラムには、藤沢駅南口近くの宿泊施設「8hotel」を運営する湘南レーベル株式会社も協力している。「8hotel賞」に選ばれたのは、趣味のサーフィンを中心に自然と人との関係を描く森温(兵庫県三木市)。「湘南らしさ」や「ビーチカルチャー」を感じさせる作品が選出の決め手となった。ホテルの客室をアートでリニューアルするプロジェクト「8DAYS A WEEK」への参加となるため、8hotel内で滞在制作を行う。成果発表の会場も8hotelを予定しており、ホテルの空間を生かした展示方法にも注目だ。

レジデンス成果展はFASと8hotel(いずれも藤沢市内)で、10月8日(土)から11月20日(日)まで開催される。アーティストたちにとっての「湘南藤沢の夏」がどのように実を結ぶのか、期待が高まる。

 

最終更新 2016年 8月 31日
 

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