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鯉江良二個展「つちからつちへ2」, グループ展「Bowls」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2016年 7月 09日

画像についてはギャラリーへお問い合わせ下さい。

■鯉江良二「つちからつちへ2」
この度メグミオギタギャラリーでは現代陶芸の巨匠・鯉江良二の作品を総括する「つちからつちへ」展の第二弾となる個展「つちからつちへ 2」を開催致します。

鯉江良二 (b.1938) は常滑市に生まれ、高校卒業後に市立陶芸研究所に就職しました。仕事により右手指二本の第一関節を失うも、1966年に自立するまでの間に現代日本陶芸展や朝日陶芸展に出品し入賞を果たします。1970年代前後からは、必ずしも焼成にこだわらない手法を用いて制作された<マスク>や、新たな生への転生を唱った<土に還る>シリーズで現代美術家としてのプレゼンスを明らかにしました。72年には第3回バロリス国際陶芸ビエンナーレ展で国際名誉大賞を受賞します。
また、鯉江は「チェルノブイリシリーズ」等、反戦・反核を題材とした作品を数多く制作していることでも知られています。 その後もアメリカをはじめオーストラリア、スペイン、韓国など世界10数ヵ国でワークショップや展覧会を開催し、国際的な陶芸家として活躍し続けてきました。

2015年7月に器を中心に発表した第一弾を経て、今展はオブジェなど器以外の作品群に焦点をあてることで、鯉江芸術の核心に迫ります。
自身が制作で訪れた各々の場所の泥(土)を紙に流した「泥-ing」(ドローイング)等の平面作品をはじめ、型取りした自らの顔を衛生陶器を粉にした「シェルベン」で焼き固めた「土に還る」シリーズを中心とした約30点の構成でお送りします。
「土に還る」は鯉江がそれまで受けていた走泥社の影響から完全に脱し、揺るぎない
"鯉江良二"のスタイルへ向かって行く分岐点となった、1971年から続く彼の代表作です。
己の芸術に突き進むために、アイデンティティの象徴とされる顔を土と一体化させたこの象徴的な作品は、鯉江良二の作陶を語る上で、彼の作家性を確固たるものとした最重要作品といっても過言ではありません。

いかなる変化をも怖れず芸術の根源的な力を体現し、陶芸界のみならず広くアートシーンに多大な影響を及ぼし続ける鯉江芸術の真価を是非ご堪能下さい。

<同時開催>
■秋永邦洋, キール・ハーン, パオラ・マシ
「Bowls」
この度メグミオギタギャラリーではプロジェクトルームにて、作陶を技法に創作する日本人彫刻家の秋永邦洋、日本を活動の拠点に置くアメリカ人作家キール・ハーン、イタリア人女性陶芸家パオラ・マシの3人の作家の器展"Bowls"を開催します。

秋永邦洋(b.1978. 2001年大阪芸術大学芸術学部工芸学科陶芸コース卒)は、陶を素材に動物の骨格イメージを用い、生と死をテーマにした彫刻を制作し続けています。彫刻の制作活動に専念していた秋永は2012年に1回限りで器を制作する機会を得ました。緻密な設計準備を基に作られる彫刻に対して、その場の感覚的な動きによって形成される器作りを経験したことは、対照的に自身の彫刻作品における時間や物質概念を捉え直す好機となったといいます。2015年に「マイヤーx信楽大賞」で金賞を受賞する等、世界への発進力を高め続ける秋永の作家史の中で、彼の作家性を逆説的に明らかにするきっかけとなった器は後にも先にもない貴重な位置づけの作品です。
今展は2012年に制作された茶器を8点出品します。

アメリカ人アーティストのキール・ハーン(b.1978. 2001年ミズーリ州トルーマン大学美術学士修了)は、2006年より日本に滞在し、陶芸家ジョン・ディックス氏のもとで陶芸修行を経験しました。2007年には鯉江良二氏のもとで和紙作品の展示会のためのインスタレーションの制作アシスタントを務めています。現在は群馬県藤岡市鬼石でアートレジデンス・シロオニスタジオを主催しながら自身も同スタジオを拠点に制作活動に励んでいます。ペインターとしてのキャリアを併せもつハーンは、指を使い絶え間なく線を描くように形成してゆく器作りのプロセスは平面での表現にも生きているといいます。躍動感あるドローイングの線やペインティングを思わせる大胆な釉使いが器の特長としても表れています。
今展は最新作の器を中心に約10点の作品を出品します。

イタリア人女性陶芸家のパオラ・マシ(b.1973)は、イギリスを皮切りにヨーロッパ各国で修行を積んだ後、現在はスペインを拠点に世界に活躍を広げています。宋陶磁や朝鮮半島、日本の影響を受けながらも、洗練された伝統美を重んじるヨーロッパ人の感性が光る上品な色合いと、薄焼きのシンプル且つモダンな造形がその特長です。
今展では、4月に開催したshowcaseでの個展では未公開の新作を含めた約20点を出品します。

様式美を重んじながら発達してきた器は基本形が決まっている分、技術力はもとより、アーティストはどのように自身のテーマを表現するかを強く問われます。また、焼成のため一度自身の手を離れた後、更に他者の手に渡り使用されることによって生き続ける器作品は、最も身近なインタラクティブ・アートといえるでしょう。

全て手捻り技法で成形する彫刻表現を極める秋永、ペインティングと陶芸制作を相互に循環させ独自のスタイルを生み出すハーン、音楽や詩を謳うように土から自然の普遍美を器に昇華するマシ ― 同世代ながら全く異なるを出自を持ち国際的に活躍する3人のアーティストが器を通じて見立てた美の形に是非ご期待下さい。

http://www.megumiogita.com

全文提供:メグミオギタギャラリー


会期:2016年7月8日(金) 〜 2016年7月23日(土)
時間:11:00-19:00
休日:日曜・月曜・祝日
会場:メグミオギタギャラリー

最終更新 2016年 7月 09日
 

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