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Enjoy My Sand
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2015年 10月 02日

クゥワイ・サムナン「Enjoy My Sand」2013-2015、Digital C-Print、80 x 120 cm、©Khvay Samnang Courtesy of SA SA BASSAC

カンボジアで最も重要な若手アーティストの一人であるクゥワイ・サムナンは、写真、ビデオ、インスタレーション、彫刻、そしてパフォーマンスなど様々なアプローチによって、歴史、文化、様々な事象についての新たな視点、解釈を探求しています。主にカンボジアという特定の文脈におけるテーマをとりあげますが、彼の作品は往々にして普遍的なものも映し出します。

土地にまつわる流動性、歴史性、継続する社会的・政治的な問題に彼は興味をもってきました。写真、ビデオ作品「Untitled」(10〜11年)は、開発のために埋め立てられ、住民が立ち退きになったプノンペンの湖で、アーティスト自身が砂をかぶるというパフォーマンスを収めたものです。

「何かについて学びたければ、十分に時間を費やし、そして本当に楽しまなければならない」。そう話すクゥワイの作品はユーモアに満ちたものが多く、今回展示する「Enjoy My Sand: Samnang Cow Taxi in Singapore」は、人間の髪の毛で作った大きな牛の角を頭につけ、シンガポールにあるビーチで出会った人々をおんぶするというパフォーマンスを収めたものです。この「Cow Taxi」シリーズのパフォーマンスは、2010年に彼がトーキョーワンダーサイトのレジデンスに滞在中、浅草で手製の人力車を使って行われ、翌年カンボジアでも行われています。「Enjoy My Sand」は土地・資源管理をめぐる地政的、経済的な問題に対する彼のユーモラスな批評であり、そこには埋め立てが盛んに行われ、海岸線が常に拡大するシンガポールへ、カンボジアから砂が輸出されているという背景があります。一見滑稽な行為のように思えるパフォーマンスの中に、何層も意味や象徴性、問題提起をもたせるのがクゥワイの作品の特徴といえます。

クゥワイ・サムナンは1982年カンボジア生まれ、2006年にプノンペンのRoyal University of Fine Artsを卒業。プノンペンのSA SA BASSAC(11、12、14年)、小山登美夫ギャラリーシンガポール(14年)で、また今年はパリのジュ・ド・ポーム国立美術館とボルドー現代美術館(CAPC)で個展を開催、主なグループ展に第4回シンガポールビエンナーレ (13〜14年)、「Sights and Sounds: Global Video Art」(The Jewish Museum、ニューヨーク、13年)などがあり、また今年11月から開催の第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレにも出展します。クゥワイは2010年、2011年にトーキョーワンダーサイトのTWSクリエーター・イン・レジデンスに滞在、また去年よりベルリンのBethenian Kunstlerhausで滞在制作しています。

http://www.hikarie8.com/artgallery/2015/10/khvaysamnang.shtml

全文提供:小山登美夫ギャラリー


会期:2015年10月21日(水) 〜 2015年11月9日(月)
時間:11:00 - 20:00
休日:展覧会期中無休
会場:8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery

最終更新 2015年 10月 21日
 

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