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栄久庵憲司氏、死去
ニュース
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2015年 2月 11日

洗練された形状に液だれしない機能性を具えたキッコーマンの「しょうゆ卓上瓶」(1961年)のデザインを手がけるなど、世界的な評価も高い工業デザイナーの栄久庵憲司(えくあん・けんじ)氏が8日、洞不全症候群で死去した。85歳だった。

1929年、東京都生まれ。海軍兵学校で学ぶが、1945年8月、広島の寺の住職だった父の跡を継ぐため、広島に移る。そこで原爆後の何もなくなった風景を見たことをきっかけに物の存在について思考するようになり、デザインへの道へと進んだ。東京芸大図案科を卒業後、米ロサンゼルスで自動車デザインを学ぶ。その後、1957年に「GKインダストリアルデザイン研究所」設立。作例として、成田エクスプレスなどの車両やヤマハ発動機のオートバイなどを手掛けたほか、大阪万博(1945年)でもモノレールや電話ボックス、照明、ベンチなどのデザインを担当。戦後、もののない時代を過ごした経験から誰もが美しいデザインを享受できる「美の民主化」を訴え続けた。

最終更新 2015年 9月 10日
 

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