| EN |

小西紀行:人間の行動
Events
Written by In the document   
Published: August 13 2014
There are no translations available.

小西紀行
「無題」
2014年
キャンバスに油彩
h.194.0 x w.130.3 cm

小西紀行(1980年広島県生まれ) が描くのは、家族あるいは身近な存在です。その姿、目鼻立ちは記号的かつ多角度的に描かれており、大きく運ばれた筆致により、鮮やかで深い色彩のなかに光や身体が削り出されるようにして存在しています。こうした描き方によってもたらされる匿名性は、何時・何処・誰でもあり得ながら、そこに描かれる人物との関係性や心理的葛藤などが複雑な情報として保持されていることが小西の作品において固有の事象と言えるでしょう。

近年、「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう αMプロジェクト 2012 No.5」(2012年、gallery αM、東京)にて個展を、また現在開催中の「ノスタルジー&ファンタジー:現代美術の想像力とその源泉」(2014年、国立国際美術館、大阪)、「絵画の在りか」(2014年、東京オペラシティアートギャラリー、東京)にも参加するなどその活躍は目覚ましく、それとともに描かれる絵画やドローイングにも変化が訪れています。

人物を描くうねるような筆致は、大胆でありながらも、幾何的な法則を予感させる直線的な動きと共存しています。また前回の個展、「個として全」( 2010年、アラタニウラノ)にて暗闇のように排されていた背景は、人物と同様のうねりが単色の色彩を伴って蠢き、いつしかその振動を内包する静けさをみせ、絵画の構成体として集約されてきています。そして絵の中の人物たち、親密な家族らしい仕草、親しいものがそれを許す相手に見せる行為、そのあまりにも人間らしい、原始的で心理的に無名な行動そのものを新たな造形のテーゼとして示しています。あらゆる変化をもって、匿名性は必然となり、その画面は新たな絵画空間となりました。

今回の個展のタイトルが「人間の行動」とあるように、小西は現在の制作について、「人間の行動それそのものをそれそのものとしてまず見てみること。絵を描くことは何の根拠もない行動が先にあり、後から思考を発見すること。」と言います。絵の具を一瞬で叩き付ける、もしくは一気に拭き取る、その衝撃的な行動の連続が無意識下でやむにやまれぬモチーフとの関係を切り結ぶ時、そこで独自の論理が生まれ、小西の求めるシンクロニシティーが画面上に宿されているのかもしれません。そうして産み出された作品たちは「肖像画」としてだけでなく「絵画」としても本質的な魅力を備え始めていると言ってもいいでしょう。


オープニングレセプション:8月23日(土)18:00 - 20:00


全文提供:ARATANIURANO
会期:2014年8月23日(土)~2014年9月20日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:ARATANIURANO
Last Updated on August 23 2014
 

Related Articles


| EN |