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リニューアルオープン記念展 「5人の写真」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2014年 7月 28日

 

ZEIT-FOTO SALONをオープンした当初に画廊で扱っていたのは、マン・レイやブラッサイ、アンリ=カルティエ・ブレッソンといったパリ写真が中心であった。それから間もなく日本の写真に目を向けた時、目に入ってきたのが北井一夫だった。70年代から80年代にかけて見た彼の写真にはパリ写真ならぬ日本写真とでもいうような、歴史の1ページには記録されなくても記憶の中の決定的な風土が写っていた。でも、北井一夫自身はどこにいても北井一夫なのである。彼はその土地、そこに生きる人々を瞬間的に捉えることができる。 90年代には新しい表現者たちが次々に登場した。彼らの多くは写真技術を表現メディアの一手段と考えていた。目の前の被写体にカメラを向けるだけでは到達できない彼らの時代のリアリティを捉えようとし、写真表現を拡張させた。オノデラユキは写真で、写真発明以前の世界に生きた人々が持っていたであろう自由な想像力に思いを馳せる。実にクリティカルなスタンスだが、写真発明後に生きる彼女にはそれが逃れられない条件だからこそ写真で表現する意味がある。一方で、90年代の作家たちがある種の衝動に駆られた瞬間に捉えたスナップも試行錯誤の末に辿り着いた彼らのリアリティなのである。そこには光るものがある。今回は鷹野隆大、楢橋朝子の目新しいスナップが出る。 00年代に入り、写真を巡る環境は大きく変わった。写真家とそうでない人とが接近し始めているかに見えるが、そうではない。浦上有紀はインドに渡り、その土地の人々を撮影している。彼女には何か写真でしか満たすことのできないパッションを感じる。北井一夫からおよそ半世紀を経て登場した若い写真家に同じエネルギーが回帰しているようだ。今後がもっとも楽しみな作家のひとりである。

出品作家:北井一夫、オノデラユキ、鷹野隆大、楢橋朝子、浦上有紀


全文提供:ツァイト・フォト・サロン
会期:2014年9月26日(金)~2014年11月8日(土)
時間:10:30 - 18:30(土 - 17:30)
休日:日・月曜、祝日
会場:ツァイト・フォト・サロン
最終更新 2014年 9月 26日
 

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