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濱口健:粗製濫造
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 5月 16日

 

この度メグミオギタギャラリーでは約二年半ぶりとなる濱口健個展「粗製濫造」を開催します。
濱口健(b.1972)は1997年、多摩美術大学の日本画科を卒業しました。卒業後、イラストレーションの世界で活動を続けていた濱口は、2008年に高橋コレクションに加えられ、神楽坂での個展を機に美術作家としてのキャリアをスタートさせました。

メグミオギタギャラリーで2011年に開催された個展「Selected Old Stuff Vol.1」では、ともすれば偽悪的とも捉えられかねないほどキッチュなモチーフを、卓越した描写力と大胆な構図で濃密に描き出し、見る者の度肝を抜きました。
呆れる程精巧に描かれた女性のヌードの上に、一糸乱れぬ均衡を保った配列の古漢字を重ね、更にその上に何の躊躇もなくトラックを被せて画面の半分を埋めてしまう ー 濱口は、外側からのノイズを全て排除し自らの欲望に忠実に描ききった完璧な絵画の上に、単体でも十分に見応えと存在感のあるモチーフを幾重にも重ねて台無しにすることで、図らずも芸術の価値を規定づけているのは一体なんであるかという根源的な問いを観る者に突きつけたのです。

今展で濱口は、素材に雑誌や広告の裏紙、要らなくなった段ボール等を用いた100の作品をひとつひとつパッケージ化し、それらを全てs字フックを使い一枚一枚、まるで古着屋に並んだTシャツのように一挙に陳列します。
全て不要とされる物質から作品を生み出すという行為自体はリサイクルの概念を想起させますが、そうした作品たちを彼は文字通り粗製(粗悪な品)と形容し、おまけに乱造(むやみにつくること)していると唱います。
しかしながらポスカにより描かれた大衆的なモチーフは濱口の比類なき画力により、究極のポップ・ファイン・アートへの見事な昇華を果たしています。
不要なものから不要なものを創った結果、価値が反転する、言わばマイナスとマイナスからプラスを生むペアノの公理が1/100のパッケージの中に体現されているのです。

100の作品がゴミとなるかあるいは歴史に刻まれているか、その答えが出るのは100年後かもしれません。メグミオギタギャラリーは、濱口健の粗製濫造を芸術作品として提示するのですから、後者の可能性を確信しているわけです。 濱口健の「粗製濫造」展、是非ご期待下さい。

★レセプション: 5月16日(金) 17:30 - 19:30

★5/20(火)からは銀座2丁目メグミオギタギャラリーにて、秋永邦洋、山脇紘資による「supernatural」が同時開催となります。
是非併せてご高覧下さい。


全文提供:メグミオギタギャラリー
会期:2014年5月16日(金)~2014年5月31日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:メグミオギタギャラリー
最終更新 2014年 5月 16日
 

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