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あく・がる【憧る】
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 3月 26日

清水 圭

あく・がる【憧る】

憧るとは、平安時代以降、魂や霊を常識として捉えていた時代にできた言葉である。
現在用いられる、「憧れる」という主観的な意味とは別に、客観性を持って心が離れていくさまを表現している言葉である。
「空く」(あく)には、空になったさまや現実の不在を見出すことができ、「移ろい」や「虚ろ」など空っぽの状態を想像させる。また、「離る」(がる)には何処か遠くを求めるさまを見出すことができ、心理的な緊密さがなくなっていく様子を想像させる。
それらに、制作過程において起きる現象との繋がりを見出すことができる。制作を続ける中で肌のすぐ近くを通っていく、イメージの断片。それらは様々な可能性を孕みながら、薄いモヤの中に煌き立ち上り、現れては消えていく。それらの可能性という煌きを、私たちは愛おしく思う。それらの想いは、強い衝動のように劇的であり、また不安定な線のように儚くもある。
それは不確かで漠然としていながらも全てを包み変容させていくような、大きなエネルギーがある。
自分の内なる空間に何かを見つけ、引っ張り出して、また別の場所へと結んでいく行為。
憧れを引き寄せるのは他でもない私たち自身の手によってであり、分断をつなぎとめることによって生まれるものこそが自分の内で輝きを持っていた、めくるめく可能性であることを私たちは知っている。この移ろいゆく変化そのものを見つめる行為を大切にしたいと考え、今回の展示のテーマとした。
立ち現れては消えていく想いをつなぎ止めることは難しい。
私たちはいくつの想いに触れ、かたちにしていけるだろうか。制作を通して、何をつなぎとめ、どのように変化し、何へと移り変わっていくのだろうか。あらゆる段階への微細な動きひとつひとつを、できることならずっと見続けていたいと思う。

[作家プロフィール]
清水 圭 Shimizu Kay
2012年 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域修了
2010年 第10回佐藤太清公募美術展 日本画の部 入選
第 12 回雪梁舎フィレンツェ賞展 入選
2012年 「海底ジャングル」修了制作二人展 (プロモアルテ表参道ギャラリー)
第一回 AG -風- 展入選
「花信風」展 (日本橋高島屋)
2013年 個展 「窓の向こう」 ※Come Vol.6 (銀座藤屋画廊)



大嶋 仁美 Ohshima Hitomi
2012年 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域修了
2012年 個展「大嶋仁美展」(GALLERY ART POINT/銀座)
第8回菅楯彦大賞展(京都府京都文化博物館、倉吉博物館/鳥取)
2013年 第39回 春季創画展東京(日本橋高島屋)
第40回記念 創画展(東京都美術館)



松丸 翔 Matsumaru Shou
2010年 多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻卒業
2011年 ARTBOX大賞 準グランプリ受賞
ARTBOX大賞展 (新宿世界堂)
FUKUIサムホール美術展 ホルベイン賞 受賞



吉澤 舞子 Yoshizawa Maiko
2012年 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域修了
2008年 女子美術大学短期大学部絵画専攻修了
2010年 雪梁舎美術館フィレンツェ賞展ビアンキ賞 受賞
2011年 一ヶ月の フィレンツェ研修滞在|
2012年 吉澤舞子展(アートスペース羅針盤/東京)
2013年 吉澤舞子 個展 ※Come Vol.6(銀座藤屋画廊)

●オープニングパーティ
3月21日(金) 17:00~

●トークショー
4月12日(土)17:30~
ゲスト:港千尋氏/多摩美術大学 情報デザイン学科メディア芸術コース教授
港千尋氏をお招きしてギャラリートーク(公開プレゼンテーション)を開催。

4月20日(日) 15:00~
ゲスト:野地耕一郎氏/泉屋博古館分館学芸課長
野地耕一郎氏をお招きしてギャラリートーク(公開プレゼンテーション)を開催。

※出展を予定しておりました和泉集は、体調不良により参加を辞退することとなりました。
何卒ご了承下さいますようお願い申し上げます。

全文提供:アキバタマビ21


会期:2014年3月21日(金)~2014年4月20日(日)
時間:12:00ー19:00(金・土は20:00 まで)
休日:火
会場:アキバタマビ21

最終更新 2014年 3月 21日
 

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