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佐々木憲介 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 2月 27日

 

2月15日(土)から、佐々木憲介の個展が画廊taimatz(タイマツ) にて始まります。taimatzでは2回目となる今回の個展。新作ペインティング5点を展示いたします。

佐々木憲介は1985年愛知県生まれ。2008年、名古屋芸術大学絵画科洋画コースを卒業。2009年、京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻を自主退学し、現在は愛知にて制作活動を行っている。2010年、グループ展「Unique Commonsわたしだけのみんなのもの」(名古屋芸術大学Art&Design Center、名古屋)、2011年、グループ展「neWs」(アートラボあいち、名古屋)に参加。

佐々木憲介のペインティングのモチーフとなっているものは、日々大量生産されている雑誌や広告あるいは映画などのイメージ、そして古典的な西洋絵画やオークションカタログに掲載されている絵画など多岐に及ぶ。それらをイメージソースとして参照しつつ、素早くキャンバスの上で絵画へと変換させる。まるでパソコン上で行われるコピー&ペーストという操作をキャンバス上で行っているかのようである。そして無作為に選ばれたかのようなそれらのイメージ群は、その無作為性によって自身の虚構性を暴露しつつますます表層的になる。

佐々木は肖像画を頻繁に描く。しかし、その肖像は雑誌や広告などを模写したものであり、そこに描かれている人物たちは彼にとってとりわけ重要な人物というわけではない。たとえその人物が著名人であろうと、彼は描くという操作によって固有名詞を剥奪しようとしているかのようである。描かれる対象が他の人物でもあり得たという記号としての匿名性、そして代替可能性はまさに現代的な問題提起であり、古典的な西洋肖像画の唯一性と比較しうるものである。
さらに虚構としてのイメージの希薄さは、大胆で軽やかな筆のタッチによって過剰に演出されているようだ。新作ペインティングでは、具象的な形態が残されつつも以前より抽象度が増している。キャンバスの上で激しく筆が踊りまわり、マチエールが炸裂する。さらにキュビズムのように対象を幾何学的に解体している絵も見られる。いずれにせよ、問題となっているのは絵画の「表面」である。こうして佐々木は、内容(描かれる対象)と形式(絵画の形式)の両方の側面において「表面」というものを露出させる。すなわち名の書き込まれていない顔という表面(匿名性)と絵画それ自体の表面。「最も深いもの、それは皮膚である」とポール・ヴァレリーは言ったが、佐々木も表面にこそ深さ、そして自由への潜在性を見いだし、そうした表面を絵画で模索しているのではないだろうか。


全文提供:taimatz
会期:2014年2月15日(土)~2014年3月8日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:taimatz
最終更新 2014年 2月 15日
 

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