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版画について考える ―101年目の宿題―
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 2月 26日

村井正誠《黒い太陽》1962年 石版、紙

版画は作り手の「自画、自刻、自摺」により、近代的な美術作品と位置づけられ、芸術として認知されていった一方で、身近な表現手段として普及し、人々の創造性を刺激してきました。この展覧会は、印刷術から生まれた芸術である版画の歴史を掘り起こし、現代の多彩な表現にいたるつながりを探ろうとするものです。

本展では、まず、近代の版画を産み出した豊かな土壌ともいえる明治期の多彩な印刷物や、「自画、自刻、自摺」による創作版画運動の起点とされる、山本鼎の「刀画」《漁夫》[雑誌『明星』掲載]、山本鼎や石井柏亭らによる雑誌『方寸』の試みなど明治末から大正期の版画作品を紹介します。また、1918(大正7)年に創立され、翌年に第1回展をひらいて以来、版画の制作を試みる人々の目標となり、版画の普及につくした日本創作版画協会の恩地孝四郎をはじめとする作家たちの作品、そして、街の印刷工房で働く謄写版(ガリ版)技術者たちが試みた孔版画までをとりあげます。さらに戦後の国際版画展での版画家たちの活躍を経て、ますます多様な表現をもつようになった版画の魅力と可能性を探ります。

今年は、1913 (大正2)年11月16日に『大阪朝日新聞』に日曜附録として、見開き2面にわたる特集「版画展覧会」が掲載されて101年目にあたります。この特集は北山清太郎の雑誌『現代の洋画』でも再録されましたが、ここで岸田劉生をはじめとする画家たちに指摘された版画の問題を、101年目の宿題として、この機会に版画のおもしろさについてあらためて考えてみます。 

およそ250点の作品と資料を出品する予定です。


全文提供:和歌山県立近代美術館
会期:2014年2月18日(火)~2014年3月30日(日)
時間:9:30 - 17:00(入場 - 16:30)
休日:月
会場:和歌山県立近代美術館
最終更新 2014年 2月 18日
 

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