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蝸牛あや:雪の夢
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 2月 21日

"花" 2013, 35×25㎝, silk on wooden panel

この度メグミオギタギャラリーでは、刺繍で表現する作家、蝸牛あやによる新作個展「雪の夢」を開催します。
蝸牛あやは2001年に多摩美術大学彫刻科を卒業、その後、ヨーロッパを中心とした刺繍の技法を学び、美術作家として活動を続けてきました。
刺繍には、私たちにとって最も身近な衣服等の「装飾」としての意味のみならず、「祈り」の手段としての長い歴史が存在します。日本においては飛鳥時代に聖徳太子の死を悼んで制作された天寿国繍帳がその最古の遺品とされており、その後、刺繍によって表現される仏像、「繍仏」として盛行しました。

2013年、日本刺繍を学び始めた蝸牛は、昨夏、重要文化財「刺繍阿弥陀三尊来迎図」を特別熟覧し、その精緻さと、 約六百年もの時を経て尚人の心を打つ祈りの形に感銘を受けました。
絹地に絹糸を刺す日本刺繍は、蚕から生みだされた絹と絹が呼吸し合い、生命力と柔らかな繊細さを同時に感じさせます。
ー現代には現代の祈りの形があるはずー
私たちの生きる今という時間の流れ、あるいはその瞬間この目に映る景色と感情の重なりを一針一針縫い付けることで、蝸牛は現代の新しい祈りの形を立体的に浮かび上がらせます。
モダンで洗練された蝸牛の刺繍作品からは、工芸を超えた表現としての刺繍の可能性が感じられます。蝸牛は、現代において形式化した「祈り」を、一針一針思いを込めた刺繍作品を通じて、その本質へと導きます。

2011年の個展、2013年の二人展に続く3回目の展覧会となる今展では、自身の手で染色した絹地に刺繍を施した「雪」の大作(80x80cm)を中心に、素材に全て絹を用いた、花(35×25㎝)や光(28.5x35cm)など私たちの身近に在る風景を優しい眼差しで表現した新作約6点を展示します。
絹地に絹糸で縫い込まれた雪景色は単なる風景描写に留まる事なく、たった今空中に舞い降りたかのような雪そのものの柔らかい質感を感じさせます。
まだ見ぬ春に想いを馳せる淡く切ない「雪の夢」、是非ご高覧下さい。

★レセプション: 2月14日(金) 17:30 - 19:30


全文提供:Showcase
会期:2014年2月14日(金)~2014年3月1日(土)
時間:12:00ー19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:Showcase
最終更新 2014年 2月 14日
 

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