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イグノア・ユア・パースペクティブ21 「Study for Cynicalness」
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 1月 31日

 

児玉画廊|東京では1月25日(土)より3月1日(土)まで、Kodama Gallery Collection - ignore your perspective 21「Study for Cynicalness」を下記の通り開催する運びとなりました。今展覧会は、貴志真生也、小林真太朗、中川トラヲ、森下明音、和田真由子の5名で展示構成致します。
貴志真生也は、ただの物がいかにして作品へと転じるのか、その変換点を見極めんとするような彫刻 / インスタレーションを制作しています。木材やビニールシートなどのいわゆる「素材」として流通しているものを組合わせて作品を構成していきますが、完成した作品を見ても一体何の意図があるのか全く分からないような造形をしています。面白いけれどその根拠に見当がつかない、まるで観る者を煙に巻くような捉えどころのなさが貴志作品の魅力です。
小林真太朗は写真の現像技術やインクジェット印刷技術をアレンジして平面上にイメージを定着させていく作品を制作しています。今展ではKodama Gallery Projectの個展「Spinning Top」(2012)で発表した、静止した独楽を真上から撮影した写真を現像する際に、印画紙を回転させて回転する独楽の画像に変化させるという作品シリーズを展示します。
中川トラヲはイメージがキャンバスやベニヤ板の中から滲み出てくるような絵画作品を制作しています。特定のモチーフは無く、木目やキャンバスのシミなどが起点となって線描や色彩が迸るようにように画面を構成していきます。近年続けている薄いベニヤ板を支持体としたシリーズの最新作を発表します。
森下明音の作品はパラフィンワックスや油彩といった、流動的な素材がワイヤーメッシュや木材、ロープなどにまとわりつくようにして凝固している、というその物質性においてもコンセプトにおいても可変性を内包しています。何を表出するか、そしてそれをどのように存在させるか、そしてその過程はいかにすべきか、作品を前に作家の思惑を探る思考ゲームのような興が湧きます。
和田真由子は自分が頭の中で想起するイメージをそのまま形にすること、というテーマに則って制作しています。例えば和田の頭の中では物の厚みや奥行きはレイヤー的に見えているので、実際の作品ではニスやメディウム等の重ねても透ける素材で、奥にあるべきパーツから順に重ね描いていくことでそれを再現しています。また、ぼんやりとしか思い浮かべられないものはビニールシートで曖昧にごまかして、はっきりと形状が捉えられる部分はベニヤ板などで明確に形作るなど、頭上に浮かぶイメージが何であるかというよりも、どのような状態で見えているかに重点を置いて制作しています。
この5名の作品はいずれも、なぜそのような手法をとらねばならないのか、という疑問を抱かせます。当たり前のことをわざとひねくれたやり方で楽しんでいるのか、それとも、ひねくれ者にしか気づかない真理が彼らには見えているのか、観るものにとってこれ程好奇心をかき立てることはないでしょう。

敬具
2014年1月
児玉画廊 小林 健

出展作家:貴志真生也 / 小林真太朗 / 中川トラヲ / 森下明音 / 和田真由子


レセプション: 1月25日(土) 18時より


全文提供:児玉画廊 | 東京
会期:2014年1月25日(土)~2014年3月30日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:児玉画廊 | 東京
最終更新 2014年 1月 25日
 

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