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江口繁:EXTRA
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 1月 21日

 

我々は現代社会の中で、しばしば役者としての自己を所持している 沢山の承認を得、個人の存在価値を確保する為に。
近代以前はコミュニティに属してさえいれば存在は肯定されていた。 しかし、近代化とともに共同体が解体していくなかで、個人は自らの価値を証明し 評価してもらわなければ存在価値を保持する事ができなくなってしまった。 他人に評価してもらわねば存在意義を保てなくなった個人は他者に受け入れられる自己像を演じている。 そう、承認されたいが為に顔のない役者になってしまったのだ。 ポップカルチャーとは、一般大衆が広く愛好する文化である。
それは、渦中にいる人間には捕らえる事が難しい程にしみ込んでしまっており 選ばれてできたはずのそれは、自覚する事ができないくらいに内在化してしまっている。 愛らしく輝く大きな瞳、妙に親しみのある容姿をして画面の中で我が主役といわんばかりの顔を持つ少女。 日本のポップカルチャーの影響を多分に受けている江口氏の作品は、選ばれたい、承認されたいという 人間の欲求、心の声を代弁してくれているようであり、顔のない役者達の願望が集結したものの象徴とはいえないだろうか。
他者の評価のみが個人の価値を作る現代、その評価という羨望を一身にうけ 内側に組み込まれてしまっているものの全貌を顕在化し、見せてくれている。 彼の作品は大衆が支持してきた、掴むことのできない内なる世界なのだ。 我々は選んでいながら支配されているのか。 けれど、それは必ずしも不幸な産物ではないと思うのです。 江口氏の描く生命力に溢れた少女は無数のエキストラの一票が組み込まれてこそ成り立っているのだから。
(Gallery Introart 橋本知紗子)

[作家コメント]
EXTRA(余分なもの 特別なもの)
2013.10月の個展では「○ The Circle」と題して「You must come full the circle to find the truth」という聖書にあると思われる一文よりタイトルをつけました。
個人と世界は互いに干渉してるとも不干渉ともいえること、そう考えている自分の立場意識を明確に提示した展示になりました。
もちろん今までの「想像」そのものが基本テーマで、ポップサブカルチャーの影響は変わりません。
今回は一部内容作品を引きつぎながらもタイトルを「EXTRA」とし「余分なもの、または特別なもの」として個人と世界のかかわりにを再考し、みんなが世界に立つひとりのエキストラ、主役でなくても大切な役割を担っていると思います。
作品も観客も個展の「エキストラ」として好演できたらよいなと思います。(江口繁)

[作家プロフィール]
江口繁(Shigeru Eguchi)
画家(油絵)

1974 生まれ
1997 多摩美術大学美術学部絵画科卒業
2001 昭和シェル石油現代美術大賞展入選
2009 タグボートサマーアワード入選
(会場オーディエンス賞受賞)
タグボートオータムアワード入選
2011 Asian Art Way 2011 in Shanghai入選

2001 昭和シェル石油現代美術大賞展
(東京・目黒区立美術館→大阪)
2003 個展「どこ吹く風」(ギャラリー銀座フォレスト)
2004 個展「みそら」(マキイ・マサルファインアーツ・新橋)
ア)
2008 Art Brisbane \'08(ブリスベン・オーストラリア)
2008 The Age 2008 Melbourne Fringe Festival
(Collingwood Gallery・ヴィクトリア州・オーストラリア)
2008 江口繁個展 「彼女たちの風景―Landscape for women―」
(ギャラリーアートポイント・銀座)
2009  WeekendAustralianArtMELBOURNE2009(アート メルボルン2009・オーストラリア)
2009 タグボートサマーアワード入選展(会場オーディエンス賞受賞)
タグボートオータムアワード入選展
2011 「ASIAN ART WAY 2011 IN SHANGHAI」(上海)
2011 Emerging Director\'s Art Fair ULTRA004 (gallery Introart)
2011 Rassemblement des artistes du pop art japonais contemporain(Paris France)
(Galerie Brugier-Rigail  www.artpartnergalerie.com)
2011 Emerging Director\'s Art Fair ULTRA004(表参道 青山スパイラルガーデン)
2011 江口 繁個展「A storyteller」(Gallerie H・三軒茶屋)
2012 Drector\'s Artfair fad fair(新宿・アートコンプレックスセンター)
2012 名古屋港アートフェスティバル(名古屋港)
2013 江口繁個展「○ The Circle」(アートコンプレックスセンター新宿)
2013 Emerging Director\'s Art Fair ULTRA006(表参道 青山スパイラルガーデン)

作家在廊予定日 1/29(水)、2/16日(日)


全文提供:Gallery Introart
会期:2014年1月29日(水)~2014年2月16日(日)
時間:13:00 - 20:00 ※最終日18:00閉
休日:月
会場:Gallery Introart
最終更新 2014年 1月 29日
 

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