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中村ケンゴ:心文一致 “Ourselves in Today's World”
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 1月 16日

"心文一致 / Ourselves in Today’s World" 2013, 100 x 80.3cm, パネルに和紙、岩絵具、顔料、アクリル、樹脂膠

この度メグミオギタギャラリーでは、約4年ぶりとなる中村ケンゴ個展「心文一致 "Ourselves in Today’s World"」を 開催します。

中村ケンゴ(b.1969)多摩美術大学で日本画を学んだ後、1995年に同大学院を修了しました。2013年はルチアーノ・ベネトンコレクションによる企画展示、「イマゴ・ムンディ」展や、東京都現代美術館で開催された「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」展に出品するなど、現代を代表する美術作家のひとりとして国内外で活躍の場を広げています。

中村ケンゴは伝統的な日本画の技法を用いて、マンガの吹き出しやキャラクターのシルエット、ワンルームマンションの間取り図、メールの返信を意味する”Re:”など、現代社会に生きる私たちにとって身近なメディアからのイメ ージに視点を当てて、コンセプチャルでユニークな絵画を制作してきました。様々なシリーズを有する中村ケンゴの絵画制作は、「作家」というものを成り立たせる「自我 / 個人」と、自らの制作の技法である「日本画」という、どちらも近代になって現れた概念をパラレルであると考え、両者をモダンな抽象絵画を彷彿とさせる画面の中で総合させようと試みる、極めて批評的な行為であるといえるでしょう。

今展で中村ケンゴは、2012年から取り組んでいる「Emoticon」(顔文字)シリーズの最新作を発表します。 欧米ではEメール等で使用される顔文字のことを、Emoticonと称します。 明治以降の日本で、書きことばを話しことばに一致させようと試みる言文一致運動が起こった理由のひとつは、思想・感情を自由的確に表現するためでした。 時代は流れ、メールによるコミュニケーションが当たり前になった今日、私たちは顔文字を使い、emotion(感情:心)をそのままicon(記号:文)することで、相手に自分の自意識を伝えようとしています。 「Emoticon」シリーズでは、コミュニケーション手段が発達すれば発達するほど、むしろ孤独を感じる現代人の、人と繋がって いたい、人に理解されたいと強く願う、「自分」を生きる切実さ、あるいはその裏腹の軽さが、美しい画面の上にリアルに浮かび上がります。出展作品は、中村ケンゴのディレクションにより2013年12月に開催される伊勢丹新宿店での企画展「GIFT of ART」で展示された100 x 80.3cmの大作3点と、新たに発表される、F4号(33.3 x 24.2cm)、F3号(27.3 x 22cm)を中心とした小品群で構成されます。

数々のモダニズム絵画からインスパイアされながらも、現代を生きる自分にとってリアルな感覚を描き続ける中村の姿勢からは、現在の日本で絵画を制作するということの困難さと可能性を同時に見出そうとする強い意志が感じられます。中村ケンゴ の最新作に是非ご期待下さい。

★レセプション: 1月14日(火) 17:30 - 19:30


全文提供:Showcase
会期:2014年1月14日(火)~2014年2月1日(土)
時間:12:00ー19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:Showcase
最終更新 2014年 1月 14日
 

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