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混沌から躍り出る星たち2009
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 8月 04日

西村郁子≪untitled≫|撮影:吉永ジェンダー|画像提供:京都造形芸術大学 芸術編集研究センター copyright(c) Ikuko NISHIMURA

「混沌から躍り出る星たち2009」展は、2008年度「京都造形芸術大学卒業制作展」・「京都造形芸術大学大学院修了展」の中から選抜された25組の新人アーティストと、社会で活躍されている卒業生をゲストアーティストに迎えた展覧会です。2001年より東京にて開催され、今年で9回目を迎えます。  今年は、油彩・日本画・陶芸・インスタレーションに加え、パフォーマンスや建築といった、多岐にわたる表現を駆使し、アートの力で社会にアプローチする若きアーティストたちが集結いたしました。現在、経済不振や政治不信による多くの混乱が起こっており、それにより生じた悪影響は、図らずともアートの世界にも不況の暗雲を漂わせてきています。彼らがその暗雲さえ消し去る恒星の如く輝き、活躍するためには、自他の違いを浮き彫りにし、他人より輝いていることをみせなくてはならない厳しい時代。本展では、そんな世の中へ飛び出して行こうと、鮮明かつ力強い表現を用いた、個性豊かでパワフルな「才能」たちをご紹介いたします。

本展の関連イベントでは、企画統括の後藤繁雄教授を始め、現代アート界をリードするアーティスト、デザイナー、美術批評家をゲストに迎え、若手の育成やアート界の現状、これからのアートシーンなどさまざまなトークを展開する連続トークセッションを予定しております。

また、展覧会に向けて京都造形芸術大学では、後藤繁雄教授によるアートプロデュース・ゼミ(アートプロデュース論Ⅰ)が新たに開講されました。本展は2004年より芸術表現・アートプロデュース学科の学生が中心となって運営されてきましたが、本年から全学科の学生たちの手によって展覧会の企画・運営が行われます。社会においてアートを発信していこうとしているのはアーティストだけではありません。アートを社会に向けてプロデュースできる才能も必要だと唱えられる現在。本展に企画・運営を通して関わる学生スタッフたちも、若きアーティストたちと一緒に新しい価値を生み出していくことができたらと願っております。

出展作家
◇招待作家(本学卒業生) 1名: 西村郁子
◇2008年度卒業・修了制作展(通学部・通信教育学部)から選定された作家 25組: 井階麻未 大場英理子 川上幸子 極並佑 坂本いづみ 佐藤允 小路由希子 神馬啓佑高木仁美 高砂光・夫馬洋輔 武田あずみ 寺村利規 土手茉莉 橋本美香 番場文章 藤居典子 藤井秀全 藤井まり子 松浦宏美 松本高志 村林由貴 目良真弓 森山蘭子山岡千紗 若松堅太郎

全文提供: 「混沌から躍り出る星たち2009」運営委員会

最終更新 2009年 7月 31日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


2008年度「京都造形芸術大学卒業制作展」・「京都造形芸術大学大学院修了制作展」から選抜された25名に、卒業生である西村郁子を加えた26名からなる展覧会。2001年から東京で行なわれており、東京で京都の若手作家を知ることのできる貴重な場として機能している。 広島市現代美術館のグループ展に参加し、画集『はつ恋』(アートビートパブリッシャーズ、2009年)も発売した佐藤允のエネルギッシュな細密画≪変態≫や、古美術を思わせる質感の藤井典子の鉛筆画≪えん(EN)≫は完成度が高くとりわけ注目した。そのようなスタイルが既に確立しているかのような作家もいる一方で、村林由貴の女性を中心にファンタジックな光景を描いた≪やさしい夢に生きる乙女たち≫のような、未だ一つのフォーマットへの収まりを見せない作家もいる。 卒展や終了制作展を見ると、重要なことは今売れているか否かではなく、どれだけ作ることを持続できるかだと思わずにはいられない。だからあくまで同展はスタートラインであり、とにもかくにも私が見たいのは、作ることがカルマであるかのような作家の作品である。それを現時点で判別することは難しく、だから鑑賞者にとっても重要なのは目に留まった作家を継続して見続けることである。


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