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水野里奈:Dazzle Painting
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 12月 13日

Dazzle Painting, 2013
ball-point pen and oil paint on canvas
162.0 x 130.3 cm
(c) 水野里奈 Courtesy of taimatz

2013年12月11日(水)より、水野里奈の個展が画廊taimatzにて開催されます。

水野里奈は1989年愛知県生まれ。2012年、名古屋芸術大学美術学部洋画2コースを卒業し、2012年4月から、多摩美術大学大学院美術研究科 博士前期課程 絵画専攻に進学。東京在住。あいちトリエンナーレ2013に出展。

taimatzでは2回目となる水野里奈の個展。今回は、新作ペインティング8点とこの展覧会のためだけに制作された壁画の展示を予定している。

一定のパターンから構成される模様を重層的に画布の上に織り上げていくという、水野里奈の独特のスタイル。今回新作として発表される作品も、草、花、イスラム美術的な装飾、そして伊藤若冲から学んだ大胆な筆致などの、様々な種類の装飾模様によって彩られている。それらの異なる模様が一つの画面の中で、即興的に幾重にも折り重ねられることで、複雑に錯綜する絵画空間が作り上げられた。しかし、以前の作品よりもさらに画面が混沌とし、鑑賞者の視覚を混乱させようとしているかのようである。彼女は、絵画がコラージュのようになってしまうのを避け、模様の境界線をなくしたいという思いが、新作により緻密な装飾性を与えたと語っている。彼女は、様々なものが混ざり合いカオスを形成する、現代的な日本の状況を意識し、それを絵画の中に落とし込もうと模索している。

展覧会のタイトルの「Dazzle Painting」は、新作の題名の一つからとられた。このDazzleという英語には、目をくらます、幻惑させる、といった意味がある。イギリスで発明されたダズル迷彩は、艦船に塗装され、敵の空間的認識を混乱させることで、船の正確な位置を把握できないようにした。そして、彼女の作品もまた、鑑賞者の空間的認識を混乱させ、不安定な感覚を起こさせる。彼女は、絵画によって、鑑賞者だけではなく、自分も驚きたいと語ってやまないが、彼女の絵画に直面したときの驚きは、ただ画面の圧倒的な緻密さからだけではなく、不安定な空間の知覚からも来るのだろう。そこにはもはや、空間、構図そしてコラージュの配置における静態的な秩序ではなく、それぞれの模様が織り成す、動態的で力学的なハーモニーが感じられる。そして、今回の展覧会のために制作された壁画は、四角いキャンバスの枠から飛び出し、現実の空間へと憑依することで、ますます鑑賞者を幻惑的な世界へと誘っていく。


全文提供:taimatz
会期:2013年12月11日(水)~2014年1月18日(土)
時間:12:00ー19:00
休日:日・月曜、祝日 ※冬期休廊:2013年12月28日(土) - 2014年1月6日(月)
会場:taimatz
最終更新 2013年 12月 11日
 

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