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サンテリ・トゥオリ:命のすみか-森、赤いシャツ、東京
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 8月 03日

≪Red Shirt≫2003年|video projection|16mm film on DVD|画像提供:スパイラル copyright(c) Santeri Tuori

2008 年にはニューヨーク近代美術館(MOMA)で、今年6 月にはバーゼルのアートアンリミテッドでも展示を行ったフィンランドを代表するアーティストのひとりで、日本では初めての展覧会となります。 サンテリ・トゥオリは、ポートレイトや写真そして映像の関係に、常に新鮮なまなざしを向けてきました。法律を勉強しながら美術表現について学び、写真表現からスタートした彼の初期の作品には、盲目の男性が音によって認識するある場所を撮影した、写真と音のインスタレーション作品「Blind City」(1999)や、作家不在の部屋にいる人物を2 秒ごとに1 時間撮影し、その静止画を並べた作品「Julia」(2001)/「Elisabeth」(2002)など、写真表現の実験的な過程が見られます。本展では、現在の静止画と動画を重ね合わせる代表的な手法に至った作品「Posing Time」(2003)を始め、子供が懸命にシャツを着ようと試みるシーンを撮影した代表作「Red Shirt」(2003)、フィンランドの離島で約3 年をかけて撮影された最新作「Forest」(2009)、そして本年5 月に行ったアーティスト・イン・レジデンスで制作された、東京の街を被写体とした映像作品も発表致します。 作家の基本的な興味は、ポートレイトはいかにして存在するか、どのような要素で構成されるのか、ということにあります。写真によってアイデンティティは再生されるのか、それとも予期せぬものが表出されるのか。アーティストとしてのキャリアをスタートさせるころ、監獄の写真を研究していた彼は「法律はある意味、写真の研究の一部である」、また「法律と作品制作はその厳格さに於いて酷似し、どちらも法則に依る所が好きだ」と言います。ポートレイトはいかにして存在するかという問題は、写真家と被写体そしてカメラの間の複雑な力の関係を含んでいるといえます。

全文提供: スパイラル

最終更新 2009年 9月 09日
 

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