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LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2013年 11月 19日

「ベラスケス頌 :選ばれし幽閉者」2013

資生堂ギャラリーでは、2013年9月28日(土)から12月25日(水)まで、「LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」を開催します。本展は、日本及びスペインで今年から来年にかけて開催される「日本スペイン交流400周年事業」プロジェクトです。

森村泰昌は、1985年にゴッホの自画像に自ら扮した作品を発表し、以降、今日に至るまで一貫して「自画像的作品」をテーマに作品をつくり続けています。1988年にはベネチア・ビエンナーレ/アペルト88に選出され、国内外に活躍の場を広げました。1996年には「美に至る病/女優になった私」(横浜美術館)、1998年「空想美術館/絵画になった私」(東京都現代美術館)、2001年「私の中のフリーダ」(原美術館)、2010年「なにものかへのレクイエム/戦場の頂上の芸術」(東京都写真美術館他)など話題となる個展を次々に開催。2007年度には芸術選奨文部科学大臣賞、2011年秋には紫綬褒章を受章した、日本を代表するアーティストの一人です。また、来年開催される横浜トリエンナーレ2014では、アーティスティック・ディレクターを務めます。

資生堂では、1994年にザ・ギンザアートスペースで個展「サイコボーグ マドンナ・マイケル・モリムラの関係」を開催して以来、約20年ぶりの展覧会の開催となります。その間、1997-2002年には『花椿』誌で「森村泰昌のラヴレター」を連載。現在もリニューアルした『花椿』誌で「美の毒な人々」を連載中です。

本展では、17世紀スペイン絵画の巨匠、ディエゴ・ベラスケスの名画「ラス・メニーナス」をテーマにした写真作品を17点展示する予定です。「ラス・メニーナス」は、通常絵画の外にいる画家が絵の中に登場し、画家・モデル・鑑賞者の立場と視線が行き交う、複雑な構図により成り立っています。この絵はどんな目的で描かれたのか、絵の中のキャンバスに描かれている対象は誰だったのかなど、多くの謎を持つ作品で、これまでにさまざまな解釈がなされてきました。

森村は1990年に「美術史の娘」のシリーズで、ベラスケスが描いたマルガリータ王女をもとにした作品を制作しました。いつかは「ラス・メニーナス」についての作品を制作したいと、そのときから考えていた森村は、「ラス・メニーナス」を再現するだけではなく、この絵画をもとに森村が新たな物語をつくり、“全8幕の一人芝居”として表現します。作品の背景となる美術館の部屋は、今年2月にマドリッドのプラド美術館で撮影してきました。登場人物の撮影は、6月末から7月初めに森村が客員教授を務める京都市立芸術大学で、特別授業として学生たちに公開制作するというかたちで行われました。

本展では、物語の場面となる写真作品と、登場人物の肖像写真など、総数17点を展示する予定です。これまで森村は絵画や写真のフレームの中を意識して作品をつくってきましたが、今回は登場人物がフレームの外の美術館に現れるというダイナミックな展開が繰り広げられます。また、扮装していない森村自身が初めて作品に登場します。 西洋絵画を代表する作品に独自の解釈と想像力が加わった、謎めいていてスリリングな森村泰昌の美の世界をお楽しみください。

作品制作のためのヘアメークは、資生堂ビューティートップスペシャリストの計良宏文が担当しました。また、本展のために制作された衣装とウィッグの一部は、SHISEIDO THE GINZA 1Fで展示する予定です。

*森村泰昌は、本展とほぼ同時期にアメリカ、ピッツバーグのザ・ウォーホール(10月6日―2014年1月14日)、東京の原美術館(10月12日―12月23日)で個展を開催いたします。

[作家プロフィール]
森村泰昌(もりむらやすまさ)
1951年大阪市生まれ。大阪市在住。京都市立芸術大学美術学部卒業、同専攻科修了。

主な個展
2013 「Theater of the Self」ザ・ウォーホール(ピッツバーグ)
「森村泰昌―レンブラントの部屋 再び」原美術館(東京)
2012 「森村泰昌 モリエンナーレ/まねぶ美術史」北九州市立美術館分館(北九州)/静岡市美術館(静岡)
「美術史への誘い」三菱地所アルティアム(福岡)
2011 「肖像経済、その他」BLDギャラリー(東京)
「A Requiem: Art Top of the Battlefield」ガレリア・ホアナ・デ・アイスプル(マドリッド)
2010-11 「なにものかへのレクイエム‐戦場の頂上の芸術」東京都写真美術館(東京)/豊田市美術館(愛知)/広島市現代美術館(広島)/兵庫県立美術館(兵庫)
「森村泰昌 モリエンナーレ/まねぶ美術史」高松市美術館(香川)/ふくやま美術館(広島)
「その他のチカラ。‐森村泰昌の小宇宙‐」兵庫県立美術館(兵庫)
2010 「なにものかへのレクイエム:外伝」シュウゴアーツ(東京)
2009 「森村泰昌 美に至る病―女優になった私」島根県立石見美術館(島根)
2008 「REQUIEM POR EL SIGLO XX」ガレリア・ホアナ・デ・アイスプル(マドリッド)
「森村泰昌:20世紀へのレクイエム/荒ぶる神々の黄昏」ギャラリー・タデウス・ロパック(パリ)
2007 「荒ぶる神々の黄昏/なにものかへのレクイエム・其の弐」シュウゴアーツ(東京)
「森村泰昌:美の教室、静聴せよ」熊本市現代美術館(熊本)/横浜美術館(神奈川)
「森村泰昌:20世紀へのレクイエム/荒ぶる神々の黄昏」Fondazione Bevilacqua La Masa Galleria di Piazza San Marco(ベニス)/ルーリング・オーガスティン・ギャラリー(NY)
2006 「烈火の季節/なにものかへのレクイエム・その壱」シュウゴアーツ(東京)
「One artist's theatre」ゲイリー・タティンツァン・ギャラリー(モスクワ)
2005 「諷刺家伝-ゴヤに捧ぐ」シュウゴアーツ(東京)/ギャラリー・タデウス・ロパック(パリ)/ルーリング・オーガスティン・ギャラリー(NY)、ガレリア・ホアナ・デ・アイスプル(マドリッド)
2003 「森村泰昌写真展 卓上のバルゴネグロ」MEM(大阪)
2002 「森村泰昌写真展 女優家Mの物語〔M式ジオラマ(25m)付き〕」川崎市民ミュージアム(神奈川)
2001 「私の中のフリーダ/森村泰昌のセルフポートレイト」原美術館(東京)/ギャラリー・タデウス・ロパック(パリ)/ルーリング・オーガスティン・ギャラリー(NY)
「森村泰昌写真展-女優家Mの物語」えきKYOTO(京都)
2000 「Art History – Yasumasa Morimura」テレフォニカ財団エキジビットスペース(マドリッド)
「名前を持たぬ時間、名前を持たぬ私」チュラロンコン大学(バンコク)
1998 「森村泰昌〔空装美術館〕絵画になった私」東京都現代美術館(東京)/京都国立近代美術館(京都)/丸亀市猪熊弦一郎美術館(香川)
1996 「森村泰昌 美に至る病-女優になった私」横浜美術館(神奈川)/ルーリング・オーガスティン・ギャラリー(NY)
1994 「森村泰昌 レンブラントの部屋」原美術館(東京)
「サイコボーグ マドンナ・マイケル・モリムラの関係」ザ・ギンザアートスペース(東京)
1993 「美に至る病 其の一~五」西田画廊(奈良)
「9つの顔」カルティエ現代美術財団(パリ)
1992 「オプションズ44」シカゴ現代美術館(シカゴ)/カーネギー美術館(ピッツバーグ)
1990 「美術史の娘」佐賀町エキジビット・スペース(東京)
1989 「批評とその愛人」モーリギャラリー(大阪)
1988 「マタに、テ」ギャラリーNWハウス(東京)/オンギャラリー(大阪)
1986 「すみれ色のモナムール、その他」ギャラリー白(大阪)
1984 平松画廊(大阪)
1983 ギャラリー・マロニエ(京都)

主なグループ展
2009 「愛についての100の物語」金沢21世紀美術館(石川)
2008 「釜山ビエンナーレ2008」Busan Museum of Modern Art, Gwangalli Beach, APEC Naru Parkなど
「アトミックサンシャインの中へ『日本国平和憲法第九条下における戦後美術』」代官山ヒルサイドフォーラム(東京)
「液晶絵画 Still/Motion」三重県立美術館(三重)/国立国際美術館(大阪)/東京都写真美術館(東京)
2004 「マルセル・デュシャンと20世紀美術」国立国際美術館(大阪)/横浜美術館(神奈川)
「コピーの時代 デュシャンからウォーホール、モリムラへ」滋賀県立近代美術館(滋賀)
2002 「エモーショナル・サイト」佐賀町食糧ビルディング(東京)
「未来予想図 私の人生☆劇場」兵庫県立美術館 芸術の館(兵庫)
2001 「森村泰昌と合田佐和子」高知県立美術館(高知)
1998 「森村泰昌プロデュース テクノテラピー」中之島中央公会堂(大阪)
1996 「Hugo Boss Prize 1996」グッゲンハイム美術館ソーホー分館(NY)
「第10回シドニー・ビエンナーレ」(シドニー)
1994 「Cocide y Crudo」レイナ・ソフィア国立美術センター(マドリッド)
「人間の条件スパイラル(東京)/芦屋市立美術博物館(兵庫)
1992 「森村泰昌・福田美蘭によるスペイン静物画へのオマージュ」、名古屋市美術館(愛知)
「Post Human」FAE現代美術館(ローザンヌ)/カステロ・ディ・リヴォリ(トリノ)、デステ現代美術財団(アテネ)/ダイヒトア・ホール(ハンブルグ)
1991 「キャビネット・オブ・サイン-ポスト・モダン以降の日本現代美術」テート・ギャラリー(リバプール)/ホワイト・チャペル・アート・ギャラリー(ロンドン)/マルメ美術館(マルメ)
「芸術の日常-反芸術/汎芸術」国立国際美術館(大阪)
1990 「Culture and Commentary:An Eighties Perspectives」ハーシュホーン美術館内彫刻庭園(ワシントン)
1989 「Against Nature; Japanese Art in the Eighties」サンフランシスコ近代美術館(サンフランシスコ)/アクロン美術館(アクロン)/マサチューセッツ技術研究所(マサチューセッツ)/リスト視覚芸術センター(ケンブリッジ)/シアトル美術館(シアトル)/シンシナティ現代美術センター(シンシナティ)/グレイ美術ギャラリー&研究センター(NY)/ヒューストン現代美術館(ヒューストン)、ICA名古屋(名古屋)
1988 「East meets West: Japanese and Italian Art Today, ART/LA 88」、ロサンゼルスコンベンションセンター(ロサンゼルス)
「43th La Biennale di Venezia Aperto \'88」(ベニス)
「アートナウ \'88」兵庫県立近代美術館(兵庫)
1987 「現代美術になった写真」栃木県立美術館(栃木)
「イエス・アート/デラックス」佐賀町エキジビットスペース(東京)、ギャラリー白(大阪)
1986 「アール・ディフェラン:絵画の異化光景」ギャラリー白(大阪)
1985 「ラデカルな意志のスマイル」ギャラリー16(京都)
1984 「オレ達は寡黙じゃない、わかりますか」ギャラリービュウ(大阪)
主な近著
「森村泰昌/全女優」(2010年/二玄社)、「まねぶ美術史」(2010年/赤々舎)、「露地庵先生のアンポン譚」(2010年/新潮社)、「対談 なにものかへのレクイエム/20世紀を思考する」(2011年/岩波書店)など
近年の受賞
2006年 京都府文化功労賞、2007年度 芸術選奨文部科学大臣賞、2011年 第52回毎日芸術賞、日本写真協会賞、第24回京都美術文化賞を受賞、2011年秋 紫綬褒章を受章。

全文提供:資生堂ギャラリー


会期:2013年9月28日(土)~2013年12月25日(水)
時間:平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00
休日:月曜(月曜日が休日にあたる場合も休館)
会場:資生堂ギャラリー

最終更新 2013年 9月 28日
 

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