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流麻二果:可視線
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 12月 27日

《可視性》2012, 162 x 194 cm, oil on canvas

YUKA TSURUNOでは2013年1月19日(土)~2月23日(土)まで、流麻二果の2年振りとなる個展「可視線 Visible Edge」を開催いたします。

流はこれまで「他人への興味」をテーマに、実生活の中ですれ違った現代人の姿を、独特な色彩と線を用い、まるで風景に溶け込むような抽象的な作品を発表し 高い評価を得てきました。昨年からは東北に通う中で目にした、日本の自然に意識を傾けた作品を描き、「人から風景」へとテーマを展開させています。展覧会 のタイトル「可視線」とは、3.11以降、私たちに美しさだけでなく畏怖や不安を感じさせることになった儚い自然の風景の中に、流の目が捉えた色や線のこ とを指しています。

流は、色彩の鮮やかな濃淡や線の表情、また絵具のもつ光沢や質感を用いて主題を表現します。塗り重ねられた絵具はそれでもなお透明感をもって優雅に流れ、 滴り、緊張感と暖かさを交差させながらキャンバス上に壮麗なイメージを作り出します。こうして築き上げられた画面は、矩形の枠を越える広がりと奥行きを持 ちながら私たちの感覚を震撼させ、想像力を促します。

本展では130号の作品「可視性」を中心に、その他10点ほどのペインティングをインスタレーション形式で展示いたします。昨年以降ワークショップ等で被 災地の支援に尽力しながら、自分は「ただ描き続けるしかない」と語る作家の渾身の最新作に是非ご期待ください。本展は現在のロケーションで開催される最後を飾る展覧会として開催いたします。

[作家コメント]
昨年以降、東北に足を運び続ける中(*)で、なによりも私の目を捉えて離さなかったのは、その自然の美しさだった。
どこまでも強く美しい風景。

だが、その自然の意味するものはある時を境に変わってしまった。
常につきまとう、目に見えない不安。

これまで絶えなく人間への興味を描いてきた私が、目の前にひろがる景色の息づきをなぞり始めた。
自然に生する線を描き始めた。
目に見える線も、見えていない線も。

私はひたすらに見つめ続け、描くしかないのである。
私はひたすらに対峙し、描くしかないのである。

[作家プロフィール]
流麻二果(ながれまにか)は1975 年大阪生まれ。女子美術大学絵画科を卒業後、2000、2006 年には若手作家の登竜門である「VOCA」に出品。2002年からは、文化庁新進芸術家在外研修員、ポーラ美術財団などの助成を受けニューヨークを拠点に、アメリカやトルコで作品を発表。主な展示に 「POLA新鋭展 2006『饒舌な寡黙、寡黙な饒舌』」(Pola Museum Annex)「DOMANI・明日2010」(新国立美術館)ほか多数

流麻二果

全文提供:YUKA TSURUNO
会期:2013年1月19日(土)~2013年2月23日(土)
時間:11:00 - 19:00
会場:YUKA TSURUNO
最終更新 2013年 1月 19日
 

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