展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2012年 9月 11日 |
[作家コメント] ー 歴史画 かつて「歴史画」をその頂点にした「ジャンル」が美術においては存在していた。やがて第2次大戦以降に徐々に美術のジャンルというものは廃れてゆき、コンテンポラリー・アートでの様々な表現が成立するようになってきた。そんな中で、現代史の「歴史画」をすることで、私はジャンルをまた持ち込むことになる。こうした事がアートにおいてどういう意味や意義を今後出現することになるのか、未だ私もよく分かっていない。 私は、幼少期、親によくヨーロッパの美術館展に連れて行ってもらって、古典絵画に対する親しみをもってきた。そして独学で2006年からテンペラ油彩の混合によるオーソドックスな画法を学んだ。こうした技法の問題に加え、私は以前から政治思想史、社会学、法社会学, 法哲学といった分野に関心を持っており、本を読んだりレクチャーに通ったりしてきたが、その興味の方向性と絵画の技法とが併さったところに、「歴史画」というものがあったのだった。
ー 八月革命とマッカーサー 今回、マッカーサーと昭和天皇らを、私はいたいけな美少年の姿で表している。この子らは、市民の熱狂と祈りとを、小さな体に一身に背負っている…。 かつて占領時代、マッカーサー宛に推定約50万通の手紙が日本人から送られたという。実に当時の人口の130人に1人が手紙を送った計算となる。その多数がマッカーサーに好意的であり、神格化した肖像画を描いて贈った者も少なくなかったという。そうした、日本人の祈りの欲望の対象としての天皇とマッカーサーの像を、現代風の・現代の日本人が欲望する、美少年の姿に表現した。そして、祈りや熱狂の裏腹に「忘却」というものがあるのだ。少女・美少年像は、祈りやあるいは天皇主義において見られる、自らの欠損を埋める「少女趣味」によるものである。そして私は昭和テイストに頼らず、ノスタルジーによらない表現を目指した。 八月革命とは、憲法学者・宮沢俊義や政治学者・丸山眞男らの学説で、ポツダム宣言受託により新憲法では、明治憲法での「根本規範」が改変された事で、「法的には革命と解すべき」とするものである。今回、戦後日本の「占領統治」をより前面にした作品を目指した。
[作家プロフィール] 小倉涌個
京都精華大学美術学部デザイン学科ビジュアルデザインコース卒業 現在、大阪府在住
1999年 さかいでアートグランプリ(審査員針生一郎他)出品 グランプリ受賞(香川) 1995年から2002年までグループ展多数
2010年 個展『マッカーサーの子供たち』(GALLERY b.TOKYO/東京) 2011年 個展『マッカーサーの子供たち』(Oギャラリーeyes/大阪)
オープニングパーティ 10月5日 18:00~20:00
全文提供:unseal contemporary
会期:2012年10月5日(金)~2012年10月27日(土) 時間:12:00 - 19:00 休日:日・月・祝 会場:unseal contemporary
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最終更新 2012年 10月 05日 |