大岩オスカール:Asian Kitchen |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 3月 28日 |
中国本土では初の展覧会となる本展では、作家が実際に目にした中国を題材にしたサイズ、ストーリー共に壮大な新作油彩画5点を中心に、旧作および版画なども展示いたします。 大岩オスカールは1965年、ブラジル・サンパウロに日系ブラジル人二世として生まれます。幼い頃からマンガに親しんできたという大岩は、中学・高校時代から徐々に作品制作を始め、大学在学中から複数の展覧会に作品を出品し、ブラジル国内で現代美術家としての活動を開始します。1989年にサンパウロ大学建築学部を卒業後、作家としてのより広い活躍の場を求めて、東京(1991~2001年)、次いでニューヨーク(2002年~)と拠点を移しながら、それぞれの都市環境や歴史と向き合い、各都市での生活体験を通して自身が感じる世界を独創的なユーモアを織り交ぜながら作品にしています。2008年7月、大岩はオリンピック開催を目前に控え沸きかえる北京を訪れました。初めての訪中となったこの滞在中に、BTAPが位置する北京大山子798藝術区や市街地を歩きながら、大岩は急速な発展を遂げてきた中国のダイナミズムを目の当たりにし、「アジアの時代が中国を中心に始まるに違いない」と感じたといいます。帰国後に制作された新作では、大岩が北京滞在中に興味を抱いた様々な、一見ばらばらに見える要素を自在に組み合わせ、独特の想像力と物語性が付与されたアジアの世界を展開させました。繁華街の一シーン、廃棄物で埋め尽くされた仄暗い土地、溶鉄が滝のように流れ落ちる工場の内部風景など、大岩は多面的にアジアの実態を捉え、現実を超えた幻想的な雰囲気と迫力のある作風でアジアの様々な表情を描き出しています。アジアを描きながらも、これら作品の根底にあるものは、均一化する大都市、エネルギー問題、産業の国際化、経済問題など、アジアに限定されないグローバルなテーマです。自らを「地球人」と呼ぶ大岩は、冷静な姿勢で国際社会全体が内包する問題と対峙し、それを自身の世界観と融合させています。 また、大岩の作品には人物が描かれていません。大岩は予め私たち鑑賞者の存在を意識しながら作品を制作しており、画面に取り込まれていくようなこの感覚は、大岩作品を見る者にとっての醍醐味といえるでしょう。本展で展示される作品には横幅5.5メートルもの大作もあり、これらの圧倒的なスケール感を持つ作品を前に、大岩の作品を初めて目にする中国の人々の間で、どのような対話が生まれるのでしょうか。 ※全文提供: 東京画廊+BTAP |
最終更新 2009年 5月 16日 |