大室佑介:迷宮の匣 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 8月 14日 |
京都河原町三条に位置するオルタナティヴラボ「radlab.」を拠点とする建築ギャラリープロジェクト「rep- radlab. exhibition project」では、2011年9月9日より大室佑介による展覧会「迷宮の匣」を行います。19世紀から20世紀の転換期を生きたオーストリアの建築家アドルフ・ロースによる言葉「芸術に加わるのは、ごく一部分の建築でしかない。それは墓碑と記念碑だ」を起点とし、またその言葉を乗り越えようとしながら、大室佑介は建築なるものと芸術との関係性を問い直そうと試みています。 芸術に加わるのは、ごく一部分の建築でしかない。それは墓碑と記念碑だ。目的に従事するその他の建築はすべて、芸術の王国から締め出されなければならない。 いつの日からか建築に興味をもち始めた私は、“豊かで快適な生活”という表層的なものではなく、それらを含めた人生の延長線上に訪れる“死後の住まい”に関心を抱くようになっていた。 死者の遺骨が納められる部屋「唐櫃(カロウト)」は、彼岸に旅立つ者の望みと、此岸に残された者の想いが交錯しながら、豊かな追悼の空間を形づくる。亡き者に捧げられたこの極小の空間には、定められた縮尺や視点は存在せず、各々の意識の中でのみ壮大な世界が紡ぎだされていく。 内部を目にした参列者は、閉ざされた匣とふたたび対峙するたびに、その密室空間で繰り広げられる果てしない物語を想起し、死者の生活に想いを馳せる。 強大な記憶の力を呼び覚まし、広大な想像の力を呼び起こす唐櫃は、建築と芸術をつなぐ可能性のひとつとして、私たちの見えないところで静かに時を刻んでいく。 大室佑介(大室佑介アトリエ) 全文提供: LABORATORY / radlab. 会期: 2011年9月9日(金)-2011年10月2日(日) |
最終更新 2011年 9月 09日 |