城戸悠巳子 展:ビ・ビ・ビ |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2008年 11月 06日 |
花束、観覧車、首もとに光る真珠のネックレス、そして結婚式の場面。デートからゴールインまでの一連の流れをシンデレラストーリーに仕立てて描いたようなシーンが並んでいます。しかしよく見ると一筋縄ではいかないのです。ドラマのような上手くつながったストーリーなんかでは全くない城戸悠巳子が描く世界。絵に意味付けしようするのは私たち。理解しようとせずともただ感じればいいのだと、城戸の絵画は教えてくれます。 今展のテーマは「魂の交流」。城戸は、ただ移りすぎゆく景色を、愛と哀愁を込めて、自分がここにいた証、痕跡をつけるように描きます。もう戻らない1つ1つの瞬間に光を与えるかのように。 「絵を描くために題材を探すのではなく、私は愛に生きているのでそこで出会ったものや、その前後の景色などを自分で切り取って、形に表すことで心が満たされていくのです。」 「人は生まれた瞬間から死へと生きるわけですが、宇宙の中では一瞬のことで、私は輪廻回生するかわかりませんが、私の魂が地球という星で出会ったことを魂の力で形に残したいと思います。」 いつもの帰り道、電車に揺られている時間、駅前の看板、見慣れた光景でも1つとして同じものはありません。そうは分かっていてもやり過ごす日々。城戸は全身全霊をこめてそれらを拾います。絵の力で命が与えられ、色褪せた画面が鮮やかに蘇ります。実際彼女の目にはすべてがそう映るのです。私たちは彼女の目に映った生命力溢れる切なく美しい二度と戻らぬ世界を絵を通して共有することができます。 「変かもしれませんが、その時のことを音で表現するのは私にとってはごく自然なことなのです。」 今展の作品のタイトルはすべて音符で表されています。音楽が身体に流れるように、感動の出会いの瞬間「ビビビ」と電気が流れるように、今展覧会を感じていただければ幸いです。運命を信じたくなるかもしれません。 ※全文提供: YOKOI FINE ART 会期: 2008年11月22日-2008年12月6日 |
最終更新 2008年 11月 22日 |