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前田さつき:ユメウツツ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 28日

《COMA 01》2010年
ボールペン,色鉛筆,イラストレーションボード |29.7×21cm
画像提供:YOKOI FINE ART

「生は死の始点であり、死は生の終点である
死は生の始点であり、生は死の終点である」

前田さつきがおよそ1年をかけて制作した今展発表作は、生と死をテーマにした大作3部作「花葬」、「愛舞」、「流転」と、3部作から派生した「COMA」シリーズから成ります。

葬式をイメージした「花葬」では、集合写真の構図をもとにし、(寿命をまっとうはしたが)撮影当時の姿のまま葬られている遺体を描き、結婚式をイメージした「愛舞」では人生は一つどころにとどまらず流動的である様を描いています。そして輪廻転生を表現した「流転」では、生と死が共存している様を、世界の大きな流れを描いています。

人間の一生は、咲いては散る花と同じ。できるなら、軽やかに、楽しく舞って生きていけたら。

前田作品に度々登場する植物や虫・動物は同じ「生」を生きる者達として、常に自然に傍らに描かれてきました。「愛舞」では咲き誇るように舞う力強さ、「花葬」ではともに土に還っていく静けさを表現しています。生と隣合わせの死を、意識して描くことで死を避けられない運命として受け入れ、生はより生き生きと写しだされます。「流転」では恐竜の骨と咲き誇る花を対照的に登場させ再生を暗示しています。真っ赤に咲くケシは麻薬の原料としても使用され、幻惑の世界に誘われる象徴ともとれます。

昏睡を意味する「COMA」シリーズでは、花に埋もれた少女が登場します。一見「花葬」の部分図のように思えますが、少女の頬にはまだ赤みが差し、死んでいるのか眠っているのか判別はつきません。さながら眠り姫のようです。そこでは生と死の境界線は曖昧に描かれ、夢と現実の間の領域に迷い込んだ感覚を受けます。

生と死、その間の永遠とも一瞬ともとれる領域を描いた、静かで強く、穏やかでもある渾身の力を込めた作品群。この機会にぜひご高覧ください。

前田さつき/Satsuki MAEDA
1976 神奈川生まれ
1999 多摩美術大学美術学部絵画科版画専攻卒業

個展
2001「DEEP DELUSION -fly out-」(DESIGN・FESTA・GALLERY F room, 東京ビッグサイト/東京)
2005「YURIKO」(DESIGN・FESTA・GALLERY G room, 東京ビッグサイト/東京)
2008「徴-sirusi-」(YOKOI FINE ART/東京)
2009「スペクタクル」アートフェア東京2009@TOKIA (東京)、「スペクタクル」(YOKOI FINE ART/東京)
2010「ユメウツツ」(YOKOI FINE ART/東京)

グループ展
2003 FIELD OF NOW 2003「形象改革」展 (洋協アートホール/東京)
2007 アートフェア東京2007 (東京国際フォーラム/東京)、YOKOI FINE ARTオープニング展 『挑戦』 (YOKOI FINE ART/東京)、「phantasia」(Bunkamura Gallery / 東京)、ART BEIJING 2007 (National Agricultural Exhibition Center/北京)、東京コンテンポラリーアートフェア2007 (東京美術倶楽部/東京)
2008 bridge Art Fair new york 08 (The Waterfront/NY USA)、ART BEIJING 2008 (National Agricultural Exhibition Center/北京)、2009 ART TAIPEI 2009 (Taipei world trade center/台北)

出版
2009 画集「徴 sirusi」(美術出版社)

※全文提供: YOKOI FINE ART


会期: 2010年6月25日-2010年7月10日

最終更新 2010年 6月 25日
 

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