死なないための葬送-荒川修作初期作品展 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 3月 10日 |
《抗生物質と子音にはさまれたアインシュタイン》 1958-59年|セメント、綿、ナイロン、着彩、ポリエステル布、木綿、木、ほか|166.0 x 107.7 x 21.0 cm 国立国際美術館蔵 ©Shusaku Arakawa photo:福永一夫 1961年12月にニューヨークに渡る荒川修作は、渡米以前に棺桶型の立体作品を多く制作しました。木箱の中には、藁を包んだ布の上に横たわる不気味な形状をしたセメントの塊。死という宿命を反転させようとする荒川が見つめた死がそこにあります。 2007年には、それまで行方不明だった大型作品3点の修復が完了しました。本展では、それら3作品の大阪での初公開を含め、1958年から渡米直前にかけて制作された20点余の初期立体作品が全国の美術館から集まります。 関連イベント ■対談 「荒川修作初期作品をめぐって」(仮題) ※全文提供: 国立国際美術館 会期: 2010年4月17日-2010年6月27日 |
最終更新 2010年 4月 17日 |
先月、惜しくも鬼籍に入った荒川修作の初期作品を集めた展覧会が開催中である。棺桶のような箱の中に不気味なコンクリートの塊が収められた作品たちは、死に抗うプロジェクトを展開した荒川の活動の原点を確認できるだろう。
展覧会会期中、予想もしない荒川の訃報は、「死」を想起させる作品たちに荒川の存在/不在を想起させてやまない。たまたま同美術館の地階で開催されている「生」に溢れるルノワール展とは対照的な展示内容だが、『ルノワール:伝統と革新』展の強固な「伝統」と比較するなら、荒川は「革新」の作家であり続けた。ルノワールの「革新」が分析や解説を加えないことには見えにくいのに対し、荒川の「革新」は「初期作品」の中に、目に見えて「生き」続けている。
なお、同時開催のコレクション展1では、荒川の渡米後の作品が展示され、京都工芸繊維大学美術工芸資料館(http://www.kit.ac.jp/)においては「荒川修作+マドリン・ギンズ:天命反転プロジェクト」(2010 年5月10日~6月25日)が開催されている。3展を見ることで、荒川修作の「死なない」芸術を経験してほしい。