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石居麻耶:海の歌
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 9月 10日

≪かけがえのないもの≫2009年|アクリル・ペン・ボード|91x91cm|画像提供:YOKOI FINE ART copyright(c) Maya ISHII

ふと見上げた空。何気ないいつもの通学路。石居麻耶は「日々、心に残りゆくもの」をテーマに日常の様々なシーンを切り取り、アクリル絵の具とペンを用いてボードの上に描いていきます。その緻密なタッチや親近感ある暖かい主題は多くの人の共感を呼び、近年では万城目学の小説「鴨川ホルモー」「プリンセストヨトミ」をはじめ、様々なイラストの依頼も増えてまいりました。そんな石居麻耶が今展では、その描く対象を海にしぼり、作品を発表いたします。

毎日の中に、見つめれば輝き始めるものがあることにどれほど気付いてゆけるのか。

そのことを考えているとき、空や太陽、その日その時の変化を受け、様々な表情を見せている海辺において、今日と明日とを紡いでいる光景を波間の光の上に見たように思いました。

いつも変わる事なくそこにありながら、決して同じ表情を見せることはない海。そこに紡がれる様々な物語に石居は光をあてます。夕日を浴びてオレンジ色に輝く波。人が佇む砂浜。波打ち際に打ち寄せられた貝殻。石居はそのシーンにふと瞬く「光」を集め、様々な想いをのせて画面に表現していきます。眩しさを感じる程の象徴的な光は私達の心にスッと入り込み、胸の奥底にしまっていた様々な感情を喚起し、輝く明日を予感させてくれます。

海のきらめきは、明確な答えを示しはしません。
ただ、数え切れないほどの光に満ちた光景を日々示し続けています。

いつでも、どんな日においても。

日々の思いの海にある、本当に確かな、希望の数だけ。

昨年Bunkamura Galleryにて行われた個展、また今年3月のペーパーワークスの個展を通し、確実にその世界観を深めている石居麻耶。技術の向上とともに、描かれる光やその情景も前向きなメッセージ性の強いものとなりました。彼女が描く希望の光に溢れた海景16点、この機会に是非ご高覧ください。

石居麻耶/Maya ISHII
1978  千葉県に生まれる
2002  東京芸術大学美術学部デザイン科卒業
2004  東京芸術大学大学院美術学部デザイン専攻描画造形研究室修了 【個展等】
2004  「レスポワール展 石居麻耶個展」(銀座スルガ台画廊 / 東京)、「石居麻耶個展 -親愛なる日々の光景-」(ごらくギャラリー / 東京)、「石居麻耶展 -日々、心に残りゆくもの-」(ピガ画廊-PIGA1- / 東京)
2006  「石居麻耶展 -彼方より来たるもの-」(ごらくギャラリー / 東京)
2007  「石居麻耶paper works」(YOKOI FINE ART / 東京)
2008  「石居麻耶個展 -見果てぬ夢 One day, one life, one more dream-」(Bunkamura Gallery / 東京)
2009  「石居麻耶展 東京少年少女」(YOKOI FINE ART / 東京)

全文提供: YOKOI FINE ART

最終更新 2009年 10月 09日
 

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