小川晴輝:集積の拡散 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2013年 2月 22日 |
「集積の解散」展は三つの異なる「絵画的なボディ」において展開されます。第一に、伝統的な媒体である絵画、しかし、小川における絵画はそのものの境界を越え、「表面としての絵画」ではなく、「立方体としての絵画」になろうとしています。小川のカンヴァス/木枠の側面は拡大し、描かれた対象の物理的な側面も表現することによって絵画のイリュージョンは広がり、メディアにもう一つの次元が加えられます。彼の絵画作品は立方体に押し込められているかもしれませんが、要素は生き生きとしながら動き、交錯している物質の体積と比較することができます。これは蠢く「水槽」であり、中にいる抽象的な主人公は制約を破壊、逃げようとしているかのような場面となっています。 第二に、布の一部、繊維、ボルト、針金などの日常的な物を樹脂の中に浮かばせた「半立体」タイプの作品です。内部に見られる色とテクスチャーによる相互作用は物理的な空間の中で集積を見せ、絵画の構造を巡る作家の考えを表します。 最後に、(「浮遊」というアイディアを表現する)色とりどりの油絵具で満たされた立方体、あるいは(「破壊」と「逃亡」などのコンセプトにヒントを与える)樹脂から飛び出す金属のスティックは、異なる側面から、別の物理的な表現方法で作家のアイディアを表現します。平面上に、支持/吊るす方法を用いず空間を支配しながら、彼らは独立した絵画的セルであり、飾られている氷の中で固まってしまった未だ伝染性を持つフォームの集積、または琥珀の中に捕らえられた前史時代の昆虫が、いつでも生き返り、逃げ出し、見る者の空間に飛び出すことができるかのような存在を示すものです。 「共鳴」のアイディアを考えながら、小川は絵画の基本構造を発展させ、異なる色のトーン/テクスチャーの布地を使用し、布地に描かれたアクションを視覚的次元に押し出します。例えば、見る者が一番近くに見える面は多くの場合において(例として「The Accumulation Rhythm V」という作品の右下にある半円筒の形)、影とレイヤーの効果によって、描かれた、覆い隠すものとして見えますが、実は布地そのものの物質的な平面です。絶え間なく変化する「近く―遠く」、「下層―上層」、そして「現実でのベース―描かれたレイヤー」のパラドックスは結果の出ないゲームとなり、見る者は何が何を覆っているのかという知覚において完全に自信を失うこととなります。作品は止まず自身を再定義し続け、何か違うもの、また違う何かに再建し続けます。 [作家プロフィール] オープニングレセプション:2013 年 3 月 20 日(水) 17:00-19:00 全文提供:Frantic Gallery 会期:2013年3月20日(水)~2013年3月24日(日) |
最終更新 2013年 3月 20日 |