ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 5月 31日 |
落合多武「drawing for cat slide」2007年 | 紙に色鉛筆、鉛筆 | 152×223.7cm | ©Tam Ochiai Courtesy: Tomio Koyama Gallery 本展は、美術評論家、松井みどり氏のキュレーションにより、90年代後半から00年代前半にかけて現われた若い世代のアーティスト14組のドローイング、絵画、映像による作品で構成するものです。60年代末以降に生まれた彼らの活動には、断片を組み合わせて独自の世界観を表現し、時代遅れのものや凡庸なものに新たな用途や意味を与える「マイクロポップ」(松井みどり氏の造語)的表現が顕著に見られます。このような表現行為が、グローバル化がもたらす画一化のなかで個人がそれぞれの生きる意味を模索することを余儀無くされる現代の世界とどのように関係しているのでしょうか。 タイトルの「ウィンター・ガーデン」は「冬枯れの庭」とも「温室」とも訳すことができます。これが暗示するのは、不況や政治不安といった困難な世相のなかで、安価な素材やシンプルな方法を用いて日常に潜む特異な美を発見し、既成の組織を解体しながら新たな形を作り上げる微生物の働きにも似た想像力の道筋をたどっていく作家たちの営みです。その一見つつましく、子供の遊びにも似た表現のなかに、既成の「芸術」や文化のイメージから離れ、火や水との接触や連想や夢といった人間の身体や心のベーシックなはたらきに立ち戻ることで、現象世界における自らのありかたを認識する芸術の可能性が見出されるのではないでしょうか。 「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」は国際交流基金が日本の現代美術の新世代を国際舞台に紹介する目的で企画したもので、今秋から始まる海外巡回に先立って原美術館で国内披露をすることとなりました。原美術館では、松井氏及び国際交流基金の了承を得て、館の空間にあわせた展示プランを作り、各出品作家や所属ギャラリー協力のもと、国際交流基金所蔵の47点による構成に独自に約10点を追加した約60点で展観します。 【海外巡回先】 【出品作家】 【「マイクロポップ」とは】 本展では、水戸芸術館現代美術センターにて2007年に開催された展覧会「夏への扉-マイクロポップの時代」(松井みどり氏、森司氏の共同企画)の考え方を引継ぎながら、それをより人間的で身体的な方向に展開している、今日の日本の現代美術表現を紹介する。 ※全文提供: 原美術館 |
最終更新 2009年 5月 23日 |