Simon Fitzgerald:When the Dust Settles |
展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2012年 9月 24日 |
この度、ギャラリーヤマグチ クンストバウ では、10 月 13 日 ( 土 ) ー 11 月 3 日 ( 土 ) まで、サイモン・フィッツジェラルド 個展 「When the Dust Settles」 を開催します。 サイモン・フィッツジェラルド (b.1957 英国生まれ)は、イギリスで美術を学んだ後、日本の宗教を研究す る為に、1982 年に来日し、現在に至るまで京都で制作活動を行っています。 作家は、宗教や祈りの追求を、高い精神性を感じる美術表現に希有な作家です。 この 20 年余り続けて来たラインワークの作品は、制作に向かう際の精神統一の息づかいや、祈りの瞑想を筆 にのせてを現した作品で、作家の代表作となりました。 今回の展覧会では、作風が一転して、ドットが繰り返し重層的に描かれた作品を発表致します。世界を構成 する基本構造を「塵」に見い出した作家は、ドットという単純でありながら無限の可能性を秘めた形を選び、 繰り返し描きました。 本展は、ドローイング 25 点の他、30 号の油絵の作品 8 点、120 号の大作 1 点による構成になる予定です。 2008 年大阪、2009 年東京の個展以来、約 4 年振りの新作の発表になります。
[作家コメント] When the Dust Settles(塵 静まる時)
3 年余り前、私は絶えず祈るというコンセプトに関する研究の一環として、ギリシャ正教会の僧院を訪ねた。食事の時間中に、修道僧の一人が問いの含まれたテキストの一部を読んだ。どの時点で原罪は、生命の基本構造に入ってくるのだろうか、という問いである。 この問いはそれ以来私の中に残った。原罪というキリスト教の概念が気にかかったからではなく、むしろ、生命を形成する物質の巨大なスープの中から、一体厳密にどの時点で、生命が生じるのだろうと不思議に思いはじめたからだ。 私は塵を基本物質のメタファとして見はじめた。塵はどこにでも在り、見えたりまた見えなかったりする。ロケットが塵のサンプルを集めるのに、宇宙の彼方に打ち上げられ、科学者たちは、微細な「神の粒子(ヒギンズ粒子)」を巨大な粒子加速器で探したり、ロンドンの地下鉄の中で「地下鉄の塵」が積もってゆくと、乗客の健康に影響するのではないかと恐れたりしている。どんな物でも 2、3 日そのままにしておくと塵は、どんどん増えるのに快適な場所をみつける。塵は太陽の光の下で漂っているのを見ることができるし、キリスト教の葬儀の折の「灰は灰に 塵は塵に」という祈祷の言葉にあるように、私たちは塵からきて塵に帰る。 そのようなことから、数年間にわたる自身の呼吸の痕跡をシステマティックに描く仕事の後、秩序立てて絵画にアプローチするという制限を措くときがきたと感じ、私を捉えはじめたこのとらえ所のない「塵」を描く方法を探して、もう一度直感的に制作をしようと考えた。 「When the Dust Settles」とは、この探求でのはじめての成果である。
サイモン・フィッツジェラルド 2012
[作家プロフィール] Simon Fitzgerald
1957 英国に生まれる 1981 英国、コベントリー大学美術学部(油画)卒業 1982 文部省国費留学生にて来日、密教を学ぶ 1986 京都市立芸術大学大学院油画修了 1996-1997 客員教授 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン、米国 現在 京都市立芸術大学油画専攻 教授
主な展覧会 (2000 年以降) 2012 When the Dust Settles ギャラリーヤマグチ クンストバウ、大阪 2009 rewrite クンストバウ|東京、東京 2008 Thoria ギャラリーヤマグチ クンストバウ、大阪 2006 Fish & Chips ギャラリーヤマグチ クンストバウ、大阪 抽象再訪 Freeing the Mind 京都芸術センター、京都 (グループ展) 2004 Indra’ s Net ギャラリーヤマグチ クンストバウ、大阪 2003 arcadia 2 ギャラリーすずき、京都 2002 arcadia ギャラリーヤマグチ、大阪 2000 Toward Upotia 海岸通ギャラリー CASO、大阪 ( グループ展)
全文提供:ギャラリーヤマグチ クンストバウ
会期:2012年10月13日(土)~2012年11月3日(土) 時間:11:00 ー 18:00 休日:日・月 会場:ギャラリーヤマグチ クンストバウ
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最終更新 2012年 10月 13日 |