宮本佳明 展:福島第一原発神社〜荒ぶる神を鎮める〜 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2012年 2月 29日 |
兵庫県在住の建築家、宮本佳明が、事故を起こした福島第一原子力発電所の保存方法を模型で提案します。宮本は阪神大震災の翌年(1996年)、ヴェネチア・ビエンナーレ建築展の日本館に被災地の瓦礫を持ち込み、「亀裂」をテーマにした展示で金獅子賞を受賞しました(磯崎新らとの共同受賞)。東日本大震災1年後の今回は、「危険なものを危険であると知らしめることも建築の役割である」との考えに立ち、従来にない発想を取り入れています。 たとえ福島第一原発の廃炉解体に成功したとしても、大量の高レベル放射性廃棄物を原発の敷地外に搬出すること自体がそもそも不可能。ならば高レベル放射性廃棄物を現状のまま水棺化し、1万年以上にわたって保管するしかない。その際、最も必要なことは、「それ」が危険であることを明示することである――。そう考えた宮本は、原子炉建屋にアイコンとなる和風屋根を載せて神社ないしは廟(マウソレウム)として丁重に祀(まつ)るプロジェクトを構想しました。建屋に付加する木造大屋根を、あえて大げさで様式的なデザインとするのが特徴です。 大屋根を付加した1~4号機の4棟を例にとると、それぞれが東大寺大仏殿に匹敵する規模。防護服を着た神官たちが日々原子炉に向かい祭祀を司る向拝(こうはい)部は、かつての中央制御室の真上に当たります。神官の役目は1万年以上にわたって事故の記憶を伝えることであり、社殿のメンテナンスにはむしろ手間とコストがかかった方がよいと、宮本は主張します。 [作家プロフィール] 全文提供:橘画廊 会期:2012年3月5日(月)~2012年3月24日(土) |
最終更新 2012年 3月 05日 |