椛田ちひろ/椛田有理:箱庭と黒い森 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 4月 21日 |
この度アートフロントグラフィックスでは、椛田ちひろ/椛田有理 姉妹の新作を中心に、これまでの彼らの様々なスタイルの作品を一堂にご紹介します。 これまで2 人はそれぞれが独自に活動し発表を行っていますが、同じスタジオを共有して製作に取り組んでいます。それぞれが異なる手法で根本的に異なった軌軸で作品を展開していますが、色彩だけでなくどこか共通の視点も感じられます。 椛田ちひろ/有理の作品を見ていると2 人の作品からは「差異」や「反復」といった言葉を連想します。ボールペンで線を重ね黒い光沢がある強度を感じさせる椛田ちひろ。ストロークやパターンを独自のシステムで反復させることで平面を覆ってゆく椛田ちひろ。どちらの作品も単純な作業の反復の中から画面の広がりを作りだしてゆきます。同じ作業の繰り返しの中からそれでも生じてくる1 点1 点の作品の差異はその時その時の2 人のバランスのよい直感的な判断の結果なのかもしれません。2 人がそれぞれ手を止め、作品の完成を宣言する直観的な判断基準も違うのでしょう。今回の展覧会のタイトルもそれぞれの作風が交りあってひとつのタイトルになっていますが、今回は展示スペースを共有することを前提として作られた新作はこれまでと違った新たな刺激の中から完成されていっているに違いありまあせん。 四角い平面に色彩を配置することで絵画は作られますが、それは箱庭に石や樹木を配置する作庭に似たところがあります。そこに表された対象は自然や現実のものを擬したものであるのと同時に新たな価値や意味をもった「もの」であるともいえます。作家の意思に従ってコントロールされる部分と製作のシステムに従うことでコントロールされない部分がまじりあい、椛田ちひろの重ねられた線が織りなす黒く深い森のような線や、椛田有里の白と黒の塊がそれぞれ意味や形に程よい閉ざされた闇を作り、閉じ込められた四角な平面からぼんやりした新たなものの幻影が立ち現われてくるようです。 椛田ちひろ ※全文提供: アートフロントギャラリー |
最終更新 2010年 5月 04日 |