「ドローイング」は物体の変容、描かれたものの融合、絵の強調された物質性、又は、予測されない運動をするアーティストの手を提示します。実験や研究を支えながら、ドローイングは「スポット」、「偶然性」、「不完全性」や、「不確定さ」の芸術的経験を可能にするでしょう。
「フランティック」という言葉は「かき乱す状態」「コントロールしきれない状態」という意味を持ち、ドローイングという芸術の性格自体にほのめかされるように、描かれた絵の「変化させられる肉体」、「可視化された変形」、「形態の破壊」、「強度」及び「展開の行動」などを強調します。
「フランティックドローイング」は物の負傷、物体の衝突、以前別々の実態だったものの非情な合体を表します。例えば、鈴木良治による『Bat Boy』はまず、「bad(悪い)」と「bat(バット)」という語を統合させたタイトルの元、包帯の白い線で覆われた不良の若者、つまり「バットを持つ反逆児」を描いています。笹山直規は特殊な水彩絵の具を作り、破壊された事故車を描きます。彼の作品の被害者の体は自動車の金属や、彼を囲む風景の物体と混ざり合い、「セミオーガニックのカーペット」を構成し、金属と肉体との「破滅的な突然変異」で生命感を満たします。
「フランティックドローイング」は形象の渦と抽象的なイメージの合成物を発生させます。大西彩は「腸のようなチューブ」と「寄生虫のようなリボン」を絡み合わせ、描かれたゴルディオス王の結び目を生んでいるような部屋をつくり出します。大野修の研究は、記憶、子供時代と大量のスラグに割かれており、それらの最新の進展として、虫と大量の粘液がアパートと安らかな日常生活を攻撃する様を描いています。
最後に「フランティックドローイング」は極限の抽象と具象に描写される形態を進ませます。小川晴輝はまさしく、一つのスポットと紙上に投げられた偶発的なインクのラインで、人の姿と、かなり明確な感情を生みます。毛利太祐は彼のすでに人間離れした技術的な強さに対し頑固に奮闘し、かろうじて見ることの出来る顔の詳細を描写し、肖像画において「自然」「ミメシス」「模倣」や、遂には「認識可能」と「具体性」という点を超越しました。
「フランティックドローイング」展は水彩や鉛筆の特徴を極端に示し、「コントロールしきれない」形象を発表します。それと同時にフランティックという語が展覧会のタイトルとしてのみではなく、ギャラリー名の一部でもあるように、オーガナイザーや参加者、ゲストの皆様へ対し、フランティックギャラリーのアイデンティティやそれらと関連する扇動される形態について考えるきっかけとなり得る展覧会として提案します。 (ロディオン・トロフィムチェンコ)
Artist’s Profile 大西彩:1978 Born in Yonkoku, Japan 2001 Graduated Tokyo University of Industrial Art, Art Department Awards 2002 NHK Digital Stage Prize 2001 Yurii Norshtein Prize
小川晴輝:1985 Born in Kanagawa prefecture 2008 Entered Tokyo Zokei University Solo Exhibitions:2009 Irritated Figures, frantic gallery, Tokyo
Naoki SASAYAMA ( a.k.a. Soda hiebie):1981 Born in Shiga, Japan. 2005 Graduated from Osaka University of Arts. Lives and Works in Tokyo. Solo Exhibitions:2006 '''The Creation'', Gallery Iteza, Kyoto 2005 ''Did my time'', Gallery Iteza, Kyoto 2004 ''Heart full of pain'', Gallery Iteza, Kyoto 2003 ''Boys don't cry'', GUILD Gallery, Osaka
鈴木良治:1973 Born in Chiba , Japan 1999 Graduated Tama Art University, Art Course, Major in Print Awards:The 61th Niki Exhibition Excellent prize Selected Solo Exhibitions:2009 “Box Series” Solo Show, Palais Project,Vienna 2008 Ryoji Suzuki Solo Exhibition, Artis Kagurazaka Gallery, Tokyo 2007 Ryoji Suzuki Solo Exhibition, Artis Kyoto Imadegawa Gallery, Kyoto、Ryoji Suzuki Solo Exhibition, Artis Kagurazaka Gallery, Tokyo
大野修:1981 Born in Fukuoka 2004 Graduated Industrial University of Kyushu, Art Department, Sculpture 2006 Master Degree at Tokyo Art University, Sculpture Solo Exhibitions:2006 SUPER NOISE SCULPTURE, LIVE&MORIS, Tokyo 2008 Our Forgotten Home Task, art project frantic, Tokyo
毛利太祐:1983 Born in Sapporo, Hokaido 2009 Tokyo Art University, B.A. Industrial Arts Awards:2008 "Fujino Prize”, Fujino Kinzoku Co.
※全文提供: frantic gallery
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